開発者ディスカッションを強化するIBM developerWorksの狙いRational Software Development Conference 2005

Rationalへの注目が高まる開発者情報サイトのdeveloperWorks。Rational Software Development Conference 2005の基調講演で語られた、コミュニティー形成におけるIBMの狙いとは何か?

» 2005年05月25日 05時12分 公開
[木田佳克,ITmedia]

 ネバダ州ラスベガスで26日(米国時間)まで開催の「Rational Software Development Conference 2005」。23日の基調講演では、Rationalデベロッパーリレーションズでゼネラルマネージャのブエル・ダンカン氏から現在開発者コミュニティーサイトとして人気が高まる米国のIBM developerWorksについてが紹介された。

米国developerWorksには、IBMのオープンソースコミットや研究開発の早期公開情報などが掲載されている

 2004年末には、従来までプロダクトごとのスタイルだったものを共通のインタフェースやスタイルへと変更。さらに、今カンファレンスで発表されたのがRSSフィードやWikiの追加だ。なお、米国ではすでに開発者とのディスカッションの場としてメーリングリストを多用してきた経緯があり、より視覚的なやり取りを実現すべくWiki採用へと至った背景があるようだ。また、カンファレンスに関連する見所としてオーバーグ氏が強調したのは、IBMを代表するメンバー自らが投稿するBlogについて。

開催中のRational Software Development Conference 2005に併せてBlogが見物となっている

 サイト傾向について、現在ページビューは右肩上がり、とインタビューに応えたのはディレクターWWデベロッパーマーケティングのキャシー・マンダルスタイン氏。

 米国サイトのページビューは、月210万PV、パーソナルユーザーの登録者数は450万人、一方、日本版サイトのページビューは14万PV、登録者数は5万3000人となっている。なお、1年間で100万人の登録者を数えており、2004年の同時期には170万人だったことからも、かなりの増加傾向であることが言及された。

IBMでデベロッパーマーケティングのキャシー・マンダルスタイン氏

 developerWorksの開設理由について同氏は、エマージェングテクノロジーの提供目的が始まりと言い、IBMにおける製品化前のコンセプト情報も公表することでユーザーフィードバックを製品反映する狙いを挙げた。また、IBMプロダクトを中心とするオープンスタンダードのテクノロジー啓蒙も目的とされており、米国版サイトのみではあるものの、先ごろデモセンターと呼ぶインタラクティブなコンテンツにも着手した。

 ユーザー傾向についてマンダルスタイン氏は、テクノロジーの切り口ではSOA、Webサービス、プロダクトではRationalなどに注目が集まっているという。Rationalへの人気は、Eclipseベースとなっていることからもユーザーが注目するのは自然なものという。今後は、Javaはもちろんのこと、Linux、オープンソース、PHP、Geronimo、UML 2.0へさらに注力をしていくとマンダルステイン氏。

 なお、国ごとの情報提供には差があり、米国developerWorksではハードウェアやデバイスドライバ、OSSファイルシステムであるJSFなどの情報までを網羅されているが、情勢からもソフトウェアに関する注目が高まっている。その状況も加味した上で、日本版サイトでは特にソフトウェア情報へ特化、厳選した記事を翻訳しているという。なお、現在、翻訳されているのは4カ国(日本、中国、台湾、韓国)となっているが、2005年度中には9カ国へと拡大を予定している。

 また開発者がページ閲覧する傾向として挙げられたのは、比較的トピックをたどるのではなくキーワード検索によるケースが多いことだいう。このため、検索性能自体にも注力している、とマンダルステイン氏。検索性を高めるためにも、metaタグのcontent属性に配慮。それぞれのカテゴリーごとに付加されている。

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