ビジネスとITの統合は「技術屋」にしかできないこと――ウルシステムズの漆原氏Interview(2/3 ページ)

» 2005年05月26日 05時25分 公開
[聞き手:怒賀新也,ITmedia]

ITmedia 具体的にSEはどんなことをしていけばいいでしょうか?

漆原 とにかく、お客様のところで成功体験を積むことが大事です。自分で自分を評価しても仕方がない。お客様に評価してもらわなくては何もならないわけです。

 われわれは、一貫して経営とITのギャップを埋めることをテーマにしています。そこには絶対的な解はありません。経営側から見ると、情報システムは言い訳にしか聞こえないことが多い。システムには「このサーバはメンテナンス期限切れ、こっちはバージョンアップしないといけない」といったいろいろな事情がありますが、経営陣にとっては、それは「良く分からないこと」であって、ストレスになる要因です。

 逆に、SEを含めたIT側の人間にとっては、「なぜそんなことが分からないんだ」ということになり、両者が理解し合うのは非常に難しいわけです。裏を返せば、この領域はとても重要であり、今後伸びていくと考えています。とにかく、言い切れることは、「経営がITに合わせることはない」ということ。常に、ITがいかに経営をサポートしていくかという点がポイントになります。

ITmedia あえてテクノロジーに注目すると、どんなものを挙げますか?

漆原 SOA(サービス指向アーキテクチャ)にしても、UMLにしても、テクノロジーというのはすべて同列です。その前の段階に重要な点があり、それがお客様の立場でシステムを考えていく上でのスキルセットということになります。それは、「Javaができます」という話ではないのです。ただし、Javaくらいできなくてはどうにもなりません。つまり、実装力という問題であり、「これをこういう風に作るとこう動く」ということを自分が確信できなくてはなりません。

 コンセプトだけで作ったシステムが、実際に動かしてみたら全く動かなかったということはよくあることで、「現実感」が必要なわけです。そう考えると、結局、実現できるのは技術屋しかいないのです。

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