XP SP2の悪夢再来? .NET Framework 2.0に非互換問題(2/2 ページ)

» 2005年05月27日 18時15分 公開
[Darryl K. Taft,eWEEK]
eWEEK
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 Microsoftはまた、デベロッパーが気をつけるべき2つの点を指摘している。1つ目はシリアライゼーションだ。「シリアライゼーションはオブジェクトの内部構造に依存するため、.NET Frameworkのバージョン間でシリアライズされたデータは壊れやすいかもしれない」とホワイトペーパーには記されている。また、セットアップ中に.NET Frameworkの特定のバージョンをチェックするアプリケーションは問題を起こす可能性があるという。

 その一方で、同社は「アプリケーションに影響することが分かったら」、.NET Framework 2.0の正式版がリリースされる前に「下位非互換変更を元に戻す」ことを検討するとしている。

 今ユーザーに協力を求めている互換性テストで問題が見つかったとして、Microsoftに対処する時間があるのかとの質問に対し、コーエン氏はこう答えた。「出荷時期は今も2005年後半に予定している。まだ時間はある。製品の出荷までまだ時間はある」

 またVisual Studio CLRチームのプログラムマネジャー、ジェス・カプラン氏は、このテストで学んだ教訓は「Whidbeyだけでなく、ほかの開発計画でも利用するつもりだ」と語っている。

 さらに、Microsoftはホワイトペーパーの中で、互換性問題を回避あるいは軽減するさまざまな手法を提案している。その1つが、.NET Framework 1.1アプリケーションを

.NET Framework 2.0でテストして、アプリケーションに必要な変更を施すことだ。もう1つの方法は、ベロッパーが自分のアプリケーションを.NET Framework 1.1と一緒に配布することだ。3つ目は、すべてのアプリケーションを.NET Framework 2.0にアップグレードすることだという。

 「われわれはあらゆる種類のアプリケーションをテストしたい。このフレームワークに関しては、アプリケーションによって動作が異なる。できるだけ大きなサンプルをとりたい」(コーエン氏)

 ロクシー氏は次のように付け加えた。「われわれは自社開発のアプリケーションをバージョン2.0でテストしている。そしてまだ互換性テストのために追加のアプリケーションを送ってくれる人を探している」

 .NET Framework 2.0とアプリケーションのテストでMicrosoftと協力しているISV(独立系ソフトベンダー)の1社に、Infragisticsがある。

 「バージョン1.1から2.0への移行をできるだけスムーズにするために、Microsoftはあらゆるレベルの顧客と積極的に協力している」とInfragisticsの開発ディレクター、スティーブ・ダドリー氏は語る。

 同氏は、Microsoftは難しい仕事を抱えているが、それをやり遂げられると考えている。

 「デベロッパーは無数のやり方で.NET Frameworkで独自のアプリケーションを構築できるため、顧客がアップグレードの際に遭遇すると考えられるあらゆるシナリオをMicrosoftとISVコミュニティーが説明するのは実質的に不可能だ。同社は顧客とISVのためにVisual Studio 2005(と.NET Framework 2.0)のβサイクルで、われわれがぶつかるかもしれない問題や懸念を伝える手段を与え、協力してこの問題に対処するか、適宜フィックスを送ることでこれらの懸念に対処している」(同氏)

 同氏はさらにこう語った。「われわれが、.NET Framework 2.0βと互換性がある最近のWindows Forms、ASP .NET、Tablet PC向けアプリケーションのユーザーインタフェースを開発するのに使うNetAdvantageツールセットのβ版をリリースした時に、このツールをテストして、われわれが開発サイクルで直面したバグを克服する上で、Microsoftは重要な役割を果たした。これによりわれわれは最新の.NET Framework 2.0βを受け取ってすぐに、NetAdvantageのβ版を顧客に提供することができた」

 さらにダドリー氏によると、Infragisticsは最近、NetAdvantageのβ版をリリースする取り組みの一環として、およそ180万行のプレゼンテーション層のソースコードを.NET Framework 1.0から2.0にアップグレードした。

 しかし誰もがダドリー氏ほど寛大なわけではなかった。Windows XP SP2リリースに関連する下位非互換の変更に詳しい匿名希望のある開発者は、「Microsoftがこのようなホワイトペーパーを発行するとは、あちこちでアプリケーションが壊れているに違いない」と語る。

 しかしSP2は最大50件の下位非互換変更があったと言われている。Microsoft関係者は.NET Frameworkで見つかったのはわずか10件に満たないと主張している。

 Microsoftのホワイトペーパーはこちらに掲載されている。

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