データを制するSEがシステムを制す現場から見るSEの「地力」(1/3 ページ)

企業を支えるデータを正確に把握すれば構築するシステムの質は自ずと高くなる。(特集:顧客満足度ナンバーワンSEの条件)

» 2005年05月30日 08時34分 公開
[杉山正二(アールエスコンポーネンツ),ITmedia]

  杉山正二(アールエスコンポーネンツ 取締役)

 ビジネスの基本はデータ。企業や事業部のデータの全体像がつかめれば、ビジネスの理解は容易である。企業データの全体像を、最上位の戦略レベルから、計画レベル、報告・管理・分析レベル、業務処理レベルの4階層で捉える、データ体系図を作成する。

 今回は、ビジネスモデルと主要プロセスが明確になった前提で、企業(事業部が複数ある場合は、まず単一の事業部で考える)のデータ(情報)体系図を作成してみる。

 データ体系図とは、企業や事業部の事業活動に必要な(あるいは利用している)データ(情報)を、横軸にプロセスをとり、戦略レベル、計画レベル、報告・管理・分析レベル、業務処理レベルの4階層で、整理したもの(図参照)である。一旦、データ体系図が作成できれば、このデータを処理するために必要なシステムやアプリケーションをこの上にマッピングすることによって、アプリケーションの全体構成(アプリケーションアーキテクチャのベース)ができ上がる。アプリケーションのマッピングの説明は次回に譲るとして、今回は、このデータ体系図の作成方法を詳しく説明する。

 ここでも森から入り、それから木々を見ていくアプローチを取ろう。まず、企業や事業部のビジョンやミッション(会社によっては、社是や事業方針など)とビジネスモデルを忘れないように、最上部に書き出しておく。

 それからは、PDCAのサイクルに沿って、森となる、戦略レベル、計画レベルのデータ(Plan)を理解し、それから、木々にあたる、業務処理レベル(Do)を見て、報告・管理・分析(Check)レベルを確認し、最後に計画レベル、戦略レベル(Action)の再確認へと戻って考える。こうすると比較的整理しやすく、うまく抽象化されたデータ体系図ができるはずである。もし、このアプローチが難しいようであれば、業務処理レベルから上位方向へ考えていくこともできる。最初は自分のやり易い方法で良いが、いずれは最初のアプローチをマスターしてほしい。この後は、弊社を例に具体的に考えてみよう。

最上位は経営戦略を

 まずは、ビジネスモデルや戦略から出てくるデータを把握する。これには次のようなものが含まれる。中期事業方針、製品戦略(どのような製品を選定し、販売していくか)、調達戦略(選定した製品をどのように調達していくか)、CRM戦略(どのようにお客様との関係を構築し、維持・発展させていくか)、マーケティング戦略(どのようにお客様にサービスや製品を認知してもらうか)、在庫戦略(多品種の製品をどのように在庫し、欠品を防いでいくか)、利益モデル(利益構造はどうなっていて、どうやって利益を生み出すか)などである。

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