Google Printは著作権侵害どころか福音になる?(2/2 ページ)

» 2005年06月01日 18時44分 公開
[John Pallatto,eWEEK]
eWEEK
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 思い出してほしいのは、Googleがこの書籍検索サービスを、世界の図書館をもっと簡単に利用できるようにするという利他的な目的だけで開発したのではないということだ。同社は新たな収入源を生み出す新しい広告プラットフォームを作っている。そこに同社がこのサービスを進める理由がある。

 同社は、現在Amazon.com、Barnes & Nobleなどのオンライン書店が押さえているビジネスの一端をつかもうとしているのだ。

 Googleが望んでいるのは、出版社が金もうけ目当てのつまらないフィクションや夏向けのスリラー小説、ロマンス小説を検索結果の上位に出すために競い合うよう仕向けることだ。

 Google Printでは、すべての検索結果ページの左側に目立つ「Buy this book」セクションが置かれ、そこには出版元へのリンクと、オンライン書店やGoogleのショッピングサイトFroogleへのリンクが載っている。

 検索結果一覧に表示されたすべての書籍の著作権情報へのリンクも目立つように配されている。

 例えば、E.L.カッスラーの「Diffusion Mass Transfer in Fluid Systems」の検索結果ページで「Copyright」リンクをクリックすると、ケンブリッジ大学出版部が著作権を持っているという説明が即座に表示される。

 しかし、これはGoogle Printの生得的な欠点を提示している。このサービスはお気に入りの作家の作品の一覧を即座に表示する最善の方法ではない。

 例えば、小説家クライブ・カッスラーの全作品のリストがすぐにほしいと思った場合でも、手に入るのは「カッスラー」という名前の人物が出版したすべての書籍と、クライブ・カッスラーに言及しているすべての書籍または論文の一覧だ。

 しかし、世界の出版社が目玉作家の最新作を優先的に表示させる広告リンクを購入できるようになれば、そのようなリストが表示されることは確実だ。

 Google Printが売上と自社サイトや大手流通業者のサイトへのトラフィックを拡大してくれるとなれば、出版社は著作権侵害の懸念を忘れるだろう。

 しかしGoogleは、同社の検索エンジンが組織的に商標や著作権を侵害しているとして複数の企業から続けて訴訟を起こされている。同社は、新しい検索サービスが新たに多数の著作権保有者の怒りを買うことに気づくかもしれない。

 この落とし穴を避けるために、Googleは莫大な書籍のスキャンとアーカイブ化が真に「公正使用」を提供するものであり、著作権を流用するのではなく、Google自身が保有している著作権であるかのように保護するということを示さなくてはならない。

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