SourceLabsに移籍したブルース・ペレンスに聞くInterview(1/2 ページ)

ブルース・ペレンス氏は、「オープンソースの定義」を生み出し、エリック・レイモンド氏らとOpen Source Initiativeを設立し、オープンソース運動を牽引してきた最も重要な人間の1人である。そんな彼がSourceLabsでの仕事について語った。

» 2005年06月13日 03時09分 公開
[Joe-Barr,japan.linux.com]

 ブルース・ペレンス氏は、8日朝、オープンソース支援企業SourceLabsに開発者対応および政策担当副社長として加わった(関連記事参照)。同氏は、SourceLabsでの任務を「エンタープライズITとオープンソース・コミュニティーの良好な関係を構築すること」だと述べているが、これには「おかしな二人」(ニール・サイモンの戯曲で、相反する性格を持った2人の男の話。映画化もされた)の趣がある。

 SourceLabsには主に2人のベンチャー投資家が絡んでいるが、その1人は最近までMicrosoftのWindowsグループを率いていたブラッド・シルヴァーバーグ(Brad Silverberg)、その人なのだ。NewsForgeは、7日、ペレンス氏にインタビューし、SourceLabsでの仕事について尋ねた。

Barr Hewlett-Packardで携わっていた仕事との違いについて、お話しください。

Perens SourceLabsに比べ、Hewlett-Packardはかなり多くの利害対立を抱えていました。その点で大きく異なります。SourceLabsのビジネスはすべてオープンソースに関するものです。ですから、わたしの経歴についてもかなり寛大に見てくれますが、HPは明らかに神経質になっていました。

 SourceLabsには、次のような、なかなか興味深い共通認識があります。基本的に、Linuxの知名度は高く、したがってエンタープライズの世界にかなり広く浸透している。しかし、Linux以外のオープンソースについてはそうした状況にはない。エンタープライズ向けIT市場ですぐにも通用すると思われるオープンソースのソフトウェアは数多くあるが、テストが不十分だ。そのため、企業は基幹業務に採用するのをためらっている。サポートもまちまちだ。サポートするのは開発者だけということもあり、誠実に対応してくれるのはよいとしても、サポート体制は十分とは言い難い状態にある。

 そこで、SourceLabsはサポート市場に目を向けます。それは、Gartnerによれば180億ドル規模の市場です。そして思うのです。「ほら、オープンソースが伸びる余地があるぞ」と。

 今、SourceLabsはスタックを構成する一連のソフトウェアをリリースしサポートしています。AMP、つまりL抜きのLAMPです。と言っても、Linux上では動かさないという意味ではありません。Linuxについては、サポートの必要性はないと判断したということです。さらに、現在、サポートの必要なオープンソース・ソフトウェアの中から追加のスタックを選びリリースしようとしているところです。最初のリリースの際は、テストを大量に自作しました。オープンソース・ソフトウェアの場合、ユニットテストは行いますが、それ以上のテストはしないのが普通だからです。オープンソース・ソフトウェアに対して機能テスト、システムテスト、スケーラビリティテストを十分に行い、自社の要件を満たしていることを保証した上で公表し、サポートを提供します。ですから、SourceLabsのビジネスは、純粋にオープンソースなのです。

SourceLabsに資金を拠出したのは、ダニー・ライマー(Danny Rimer)氏とブラッド・シルヴァーバーグ氏である。

Barr ブラッドという名前を、よく耳にしますね。

Perens MicrosoftでWindowsビジネスを率いていたからでしょう。Microsoftの前役員とこのわたしが、同じ会社に関わっているのですからね。ブラッドの意見を聞いてみたいものです。おそらく、「我々はライセンスだけに固執しているわけではない。従来型モデルでライセンスするビジネスにも投資するし、オープンソース・ビジネスにも投資する」といった趣旨のことを言うでしょう。まったく興味深いことです。何しろ、Microsoftを辞めたのは、この12月か1月のことですから。

Barr しかし、ブラッド氏は投資家として関わっているだけですね。

Perens 投資家としての関わりです。しかし、もちろん、投資家には管理者の役目もあり、役員会にも出席します。実際、ブラッドとは頻繁に話をしています。ダニー・ライマーは、オープンソースの世界では知られている人物です。MySQLの資金に関わっていますからね。

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ