CIOの役割とは――ソニーやJRの例に学ぶ

ITによる業務効率化が必須となり、CIOの重要性が高まっている。しかし人材や実務の面で課題は多い。

» 2005年06月15日 12時47分 公開
[岡田有花,ITmedia]

  CIO(最高情報責任者)の役割は重要性を増しているが、適任の人材がなかなかいない――6月14日、早稲田大学で行われたパネルディスカッション「ワセダCIOフォーラム」で、ソニーやJR東日本の担当者、経済産業省のCIO補佐官らが、CIOの役割について意見を交わした。

 ワセダCIOフォーラムは、早大国際情報通信研究科の「ITソリューション」講座の一環で、マイクロソフトと協力して開催した。同研究科は昨年秋から「CIO・ITコース」を開設し、CIOを目指す学生を育てている。

photo 早大国際情報通信研究科の学生を中心に、100人あまりが集まった

 CIOは、経営全体を見渡しながら、業務改善に向けたITの活用法を考えるポジション。例えばソニーは、ITによるオペレーションの効率化で業績回復を目指しているといい、CIOの役割は大きい。

 ただ問題もある。ソニーは複数の関連会社が世界中で絡みあっており「CIOが世界のいたるところにいて、好き勝手やっているのが現状」(ソニーの堺文亮シニアバイスプレジデント)。人事や物流など共通化できそうなシステムもバラバラに運用されているため、「個人的な考えだが、CIOは1人にすべきと思う」(堺シニアバイスプレジデント)。

 CIOの“コストカッター”としての手腕は重要だ。ITの進歩のスピードは急速で、システムがすぐに低価格化するため、先端技術を組み込むほどコストが下げられるという。「首都圏の私鉄にSuicaを導入するプロジェクトは、コストダウンにつながるからこそ実現した」(JR東日本情報システムの結城淳一会長)

 IT化が新たな付加価値も生むこともある。例えば、国内の特許申請は9割以上がネット経由。「ネットで手軽に申請できることで、日本の知的財産のレベルアップにも一役買った」(経済産業省CIO補佐官の野村邦彦氏)

CIOの条件は

 CIOに必要なのは、経営全体を見ながら、ITを活用して何ができるか考え、実行する能力で「CEOとほぼ同じ要素が要求される」(JR東日本情報システムの結城会長)。具体的には、リーダーシップや社内・社外の調整力、ITの知識、業務知識、英語力などが必須能力として挙がった。

 しかしこれらすべてを備える人材は少ない。人材をどう育て、適切に配置するが今後の課題となりそうだ。

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