ITIL導入の鍵、BMCが構成管理データベース発表

BMCソフトウェアは7月20日より、ITILに対応した構成管理データベースの最新版「BMC Atrium CMDB」の出荷を開始する。

» 2005年06月17日 21時46分 公開
[垣内郁栄,@IT]

 BMCソフトウェアは6月17日、システムの運用管理やITサービス管理のベストプラクティス集である「ITIL」に対応した構成管理データベースの最新版「BMC Atrium CMDB」を7月20日に出荷開始すると発表した。CMDBはITのハードウェアやソフトウェアなど企業の資産を管理する製品で、ITILでは「サービスサポート」の範囲に位置付けられている。BMCでは「監査のプレッシャーが強い業種などは、今後CMDBに挑まざるをえない」としていて、市場の成長を期待している。

 BMC Atrium CMDBはBMCが同日発表したITサービス管理のスイート製品「Remedy IT Service Management v6.0」に同梱して出荷する。単体での販売は行わない。

BMCソフトウェアの松本氏 BMCソフトウェア 技術本部 ソリューション技術部 ソリューションアーキテクト 松本浩彰氏

 BMC Atrium CMDBは、BMCが考えるITIL導入の基盤となる製品だ。ITILではハードウェアやソフトウェアなど目に見える企業資産のほかに、概念としてのサービスや顧客、SLA、障害情報(インシデント)などもCMDBで管理することを考えている。BMCはこの考えをBMC Atrium CMDBに導入し、データ量が増大しても高いパフォーマンスを維持できるようにしたり、ほかのシステムが持つ構成管理の情報を取得できるようにした。

 高パフォーマンスの実現では、データベースの構造を階層型にしたことが挙げられる。一般にハードウェアやソフトウェア、サービスの各要素であるCI(構成アイテム)が増加すると、データ量が増大し、検索などのパフォーマンスが低下するとされる。そのためBMC Atrium CMDBは、コア層にはCIと、CIごとの関係性を示すデータを格納。拡張データ層には、変更リクエストやヘルプデスクチケットなどアクセス頻度が低いデータを保存する。データの格納先を分けることでトランザクションを分散し、全体のパフォーマンスが向上するとBMCはみている。

 また、BMC Atrium CMDBは重複するデータを整理するリコンサイル(整合)機能を搭載し、「検索の速度アップやストレージ容量の増加に対応する」(BMCソフトウェア 技術本部 ソリューション技術部 ソリューションアーキテクト 松本浩彰氏)。

 ほかのシステムとの連携ではAPIを用意し、Microsoft Systems Management Serverなどの資産管理製品から情報をリアルタイムで吸い出せるようにした。リコンサイル機能を使って重複データの整理も可能で、「企業の実態をリアルタイムにCMDBに反映できる」(松本氏)という。さらにBMC Atrium CMDBではデータ構造を示すテンプレートを用意。資産情報を入力する画面なども提供し、ITサービスの管理者はテンプレートに従って適切な構成管理ができる。

 BMCは、1つのCIに起きた障害がシステムやサービス、ビジネスにどのように影響が出るかをビジュアルに表示する「サービス・インパクト・マネジャー」としてもBMC Atrium CMDBを利用する考え。一般の資産管理製品と異なり、BMC Atrium CMDBはCIごとの関係性を定義することが可能。そのためCIへの影響が別のCIにどのように波及するかをツリー状に示す「インパクト・ツリー」を作成できる。この機能を使ってサービス・インパクト・マネジャーを実現する。提供は来年以降を予定している。

 BMC Atrium CMDBを含む「Remedy Help Desk6.0」は170万円から、同様にBMC Atrium CMDBを同梱する「Remedy Asset Management6.0」は595万円からなどとなっている。

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