「EMCは業界をコンソリデートする側」とトゥッチCEOInterview(1/2 ページ)

強いEMCへ転換に成功しているトゥッチCEO。ホプキントンにあるEMCの本社で各国プレスからのインタビューに応じた。

» 2005年06月20日 12時37分 公開
[堀哲也,ITmedia]

 「Symmetrix」のEMCからの脱却を指揮してきたジョセフ・トゥッチCEO。2001年にCEOに就任以来、内部の建て直し、プラットフォーム事業のポートフォリオ拡大、ストレージ関連ソフトへの積極的に進出を行い、強いEMCへと転換させてきた。成長率でみれば、IT業界の中でも最も高い企業といえるという。

 マサチューセッツ州ホプキントンにあるEMCの本社で各国プレスからのインタビューに応じ、SymantecとVeritasの統合、Sun MicrosystemsのStorageTeKの買収など、ストレージ業界のコンソリデーションの動きにコメントした。

ジョセフ・トゥッチCEO 「EMCは非常にうまくいっている。国際的にももっと投資を行っていく」と約束したトゥッチCEO

――CEOとして眠れないような悩みはありますか?

トゥッチ 悩みはありません。強いてあげるなら、グローバルエコノミーが弱いことでしょうか? できるだけ積極的に市場に打って出たいと考えていますが、現実的にならないこともあります。しかし、EMCは総じて非常によい状況にあると考えています。

――この業界はコンソリデーションが進んでいます。EMCも多くの企業を買収していますが、さらに強い企業に買収される恐怖はありませんか?

トゥッチ そんな心配をしたことはありません。この業界のコンソリデーションはまだまだ進むと思いますが、わたしたちはコンソリデートする側にあります。EMCはとても価値の高い会社です。株の買い戻しも積極的に行っていますし、株主に対して最高の仕事をしています。一度でも売却したいと思ったことなどありません。EMCは長い期間、コンソリデートする側としてプレーしていくことになるでしょう。

――買収によりソフトウェアの売上が高まってきました。ハードウェアの売上を抜くことはありますか?

トゥッチ 2005年の第1四半期は、売上全体の46%がハードウェアから、37%がソフトウェアからでした。ソフトウェアがハードウェアを上回ることを期待しています。EMCは75億ドルのキャッシュを保有しており、これらは株の買戻しと買収に使用します。これら状況が急激に変わるようなことがなければ、ソフトウェアが大きくリードすることになるでしょう。ソフトウェアが最も早いスピードで伸びていくところになります。

――VeritasとSymantecの統合による影響はありますか?

トゥッチ 現段階ではよく分かりませんね。私の理解では、Symantecはデスクトップに頼った企業で、Veritasはデータセンターを中心にしています。統合後にどちらが会社を牽引していくことになるのか、よく観察していかなければなりません。EMCの強さはデータセンターにありますから、SymantecがVeritasをエッジのほうへ連れて行くのなら、わたしたちの現在の状況を変えるものになるとは思えません。

――この統合は根拠があるものだと思いますか?

トゥッチ この統合はSymantecが主導型で行われたと思います。Symantecは潤沢なキャッシュを持っていますし、Microsoftが今のSymantecの市場に入ってこようとしています。どこかを買収しなければならない状況にあったのではないでしょうか。それが根拠だと思います。

――SunによるStorageTek買収については、どうですか?

トゥッチ StorageTekは素晴らしい会社だと思いますが、もはや彼らのビジネスが成長するとは思えません。テープライブラリというのは成長の芽のまったくないビジネスなのです。バックアップ/リカバリに、今後テープが使われることはありません。テープはなくなりはしませんが、一部のアーカイブにのみ使われるだけです。

 SunがなぜStorageTekを買収したのか、わたしには到底理解しかねます。とても成功するとは思えません。

――Dellとの関係はいつまで続くのでしょうか?

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ