Cellのオープンソース化に向けて(2/2 ページ)

» 2005年06月23日 20時54分 公開
[Jay-Lyman,IT Manager's Journal]
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 彼は、ITMJに宛てたメールの中でこう述べている。「Cellのアーキテクチャは一筋縄ではいかない。オープン化によって支援の幅を広げれば成功のチャンスも増える。開発者が増えればアプリケーションも増え、Cellの成長を促すアイデアも増える」

 Cellの内部メカニズムとアーキテクチャをIBMとそのパートナーはどの程度明かすかとの問いに答えて、レイノルズ氏は「限界もあろうが、かなりの程度だと思う」と指摘する。

 「丸ごとということもあるのではないか。IBMとそのバートナーは他社より優れたCellプロセッサを設計することで有利な状態を継続できると踏んでいる。ソフトウェアしかオープンにしなくても、Cellの価値の多くはそこに含まれている」

 「他方、新技術を一部保護したいとも考えるだろう。問題は、低空飛行が長く続くと、よい位置に立てないことだ。最大のリスクは、Powerなどと競合する製品にCellのアイデアが盗用されることにある。IBMは、Cellがもたらすチャンスと、その他の分野でも価値を生み出すかもしれないテクノロジを公開してしまうことのリスクとを天秤にかけなければならない。」

 PS3以後のCellの展望に関して、レイノルズ氏はこう指摘する。「このチップの行く手には平地もあれば荒れ地もあるが、長い道のりが続くことは間違いない」

「今のところ、PS4が一つの山になるだろう。途方もなく多くの難所が待ちかまえている」

どこまで行くかはまだ判断できない

 Mercury Researchの社長、ディーン・マキャロン(Dean McCarron)氏は、あるインタビューの中でITMJにこう話してくれた。「Cellの後援者たちが十分な開発者とアプリケーションの支援を獲得できないと、結局、限られた分野のマーケットに追いやられ、より広範な活躍の場を失うことになるだろう」

 「まったく新規のプラットフォームなら、できることは何でもやって採用を加速させることが重要だ。大量のプロセッサがニッチ化し、特定の企業の枠から外に出ることがないのは、支援がないせいである」

 Motorolaの68000プロセッサとIBMのPowerの事例を交えながら、「勢いをつけることができれば、後はアーキテクチャの問題だ」とマキャロン氏は言う。

 また、Cellがどれだけオープンになるかに触れて、「ハードウェアの場合、その手の公開はどこかで止まるのが普通だ。その点を越えるということは、そこから先にやるべきことが相当あって、タダでは無理だということだ」と言う。

 さらに付け加えて、「特許の問題が起こる可能性もあるが、Cellに関してはIBMが当事者なので、まずそれはないだろう」と言う。

 Cellテクノロジは素晴らしいものだが、このチップがどれだけ成功するかを今語るのは早計に過ぎると、McCarronは指摘する。「普通、こうしたものは2つの方向のどちらかへ進むものだ。つまり、限られた分野に留まるか、広く行き渡るかだ。現段階ではまだ判断できない」

 IBMのある広報担当者は、Cellを巡る戦略とその新テクノロジーのオープンソース化について会社としてまだ語る段階でないと述べた。しかし、「IBMは、この点について、近々さらなる情報を持つことになる」とも示唆した。

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