日本オラクルは、ビジネスアプリケーションの統合計画「プロジェクト・フュージョン」を発表した。同社の持つビジネスアプリケーションを2008年までにスイート製品として完全統合する。
日本オラクルは6月23日、ビジネスアプリケーションの統合計画「プロジェクト・フュージョン」を発表した。買収によって手にしたPeopleSoft、JD Edwardsのアプリケーション製品を「Oracle E-Business Suite」と統合していく計画で、段階を踏みながら、2008年までにスーパーセットとなるスイート製品「Fusion Applications Suite」を開発する。
オラクルでは現在、プロジェクト・フュージョンに向けてミドルウェアを再構成した「Oracle Fusion Middleware」を推進している。これは、Application Server上に、BPEL、アイデンティティ管理、ポータルなどといったコンポーネントで構成するもの。その1つとなる「Oracle Data Hubs」は、異なるアプリケーションのデータのシングルデータモデルを可能にするもので、顧客情報を統合する「Customer Data Hub」を昨年に出荷するなどしている。この秋には、製品情報を統合するための「Product Information Management Hub」と、企業グループの会計情報を統合できる「Financial Consolidation Hub」を出荷するという。
新宅正明社長は、会見の席で「統合に当たってミドルウェアが非常に重要になる。Oracle Fusion Middlewareを推進していく。ビジネスアプリケーションを新しいアーキテクチャで統合していく」と話した。
米Oracleのアプリケーション開発担当シニアバイスプレジデントのジョン・ウーキー氏によると、プロジェクト・フュージョンは、次世代アーキテクチャを標榜し、SOA(Service Oriented Architecture)に準拠するなど標準ベースのアプローチとなる。Oracle Data Hubsに見られるように、単にプロセスの統合だけでなく、情報の統合といった点にも力を入れる。また、インダストリ指向を掲げ、これまでよりも業界特有のニーズに切り込めるものにしていく方針だ。
「PeopleSoft Enterprise」「JD Edwards EnterpriseOne/World」といった既存製品については、2013年までの継続的なサポートを約束しており、過去のPeopleSoftサポート・ポリシーを適用していくという。
米Oracleの社長チャールズ・フィリップス氏は、プレス向けQ&Aに臨んだ。ビジネスアプリケーション分野の買収について尋ねられ、規模のメリットを生かしたERP分野の強化、Retekの買収についてはインダストリ指向を強める狙いだったと話した。
また、ライバルの独SAPに対する優位点としては、インフラとアプリケーションの双方に取り組んでいる点などを挙げた。日本国内のERPビジネスについては、「PeopleSoftと一緒になったことで改善を加えられる」「カスタム化からパッケージに市場の関心が移ってきている」などと話し、将来的には希望を持っているとした。
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