言えないと恥ずかしいAMD64とEM64Tの違い64ビットコンピューティング最前線(3/3 ページ)

» 2005年06月24日 07時30分 公開
[ch3,C MAGAZINE]
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64ビットのテクノロジが必要な理由

 64ビット環境が必要となるのは、高性能を必要とし、大容量の物理メモリと仮想メモリを使用するアプリケーションです。32ビットで管理できるアドレッシングエリアは、原理的に4GBまでに制限されてしまいます。また、今日の多くの32ビットOSがアドレスできるのも2GBまでという制限があります。これ以上のメモリ領域を扱いたいなど、コンピューティング機能の強化を必要とするユーザは、64ビット環境に移行する必要が出てきますが、その際には既存の資産をどうするかという問題が発生します。

 AMD64やEM64Tの64ビットテクノロジにより、一部またはすべてのアプリケーションにおいて、ソフトウェアおよびハードウェアを32ビットから64ビットに徐々に移行することが可能になります。

x64技術のメリット

 従来のx86環境、または64ビット専用の環境より、x64環境のほうが有利に働くアプリケーションおよび使用事例は、多数あります。64ビットネイティブコードにするメリットがないアプリケーションについては移植作業をする必要はなく、そのままx64の環境でも性能をフルに発揮させることができます。x64がとくにメリットをもたらす分野として、モデリング、シミュレーション、統計、財務分析、画像、ビデオ、信号処理、物理学、医学研究、テレコム、暗号化、圧縮など数学的精度と浮動小数点演算性能を必要とするアプリケーションがあります。さらに、意思決定支援、検索、索引、ドキュメント、コンテンツ管理、音声認識など、大容量かつ高性能のデータベース機能を必要とするアプリケーションのほか、コンピュータ支援設計、製造、エンジニアリング(CAD、CAM、CAE)、デジタル音楽制作およびビデオ編集、デジタルコンテンツ作成、リアルタイムメディアストリーミングソリューションなどのアプリケーションが考えられます。

x64をサポートするOS

 もともとx64は、Windows、Linux、Solarisの32ビット版を含むすべてのx86ベースのOSにおいて実行可能になることを目指している技術で、これらは問題なく動作します。

 また、すでに数社のLinuxディストリビュータが、ネイティブの64ビットOSでx64をサポートしています。マイクロソフトも、まもなくデスクトップ/モバイルPC向け、およびサーバ向けのx64版OSを提供する予定です。

 ドライバについても、3DLabs、ATI、Matrox、NVIDIAなどの主要なグラフィックスソリューションプロバイダが、64ビットOS向けに必要なハードウェアドライバを発表、供給しています。

AMD64とEM64Tの互換性

 AMD64とEM64Tはそれぞれソフトウェアレベルではほぼ互換性がありますが、採用しているハードウェアマイクロアーキテクチャの違いから一部仕様が異なっている部分もあります。たとえば、後発のEM64Tに新しく追加されたSSE3などの命令セットや、削除・拡張された命令セット、メモリ/データのアドレッシングや割り込み制御などが異なります(Table 1)。では、両方で動作するソフトウェアは作成できるのかというと、Table 1に示した違いにかかわる処理が組み込まれているような特殊な例を除き、ほとんどの場合はAMD64とEM64Tの両環境で動作可能です。

AMD64とEM64Tの具体的な相違点 AMD64とEM64Tの具体的な相違点
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