サンはOpenOffice.orgコミュニティーをどう見ているのか?Interview(4/5 ページ)

» 2005年06月27日 08時46分 公開
[聞き手:可知 豊、木田佳克,ITmedia]

石村 残念ながらStauSuite 8では、対応できませんでした。しかし、将来的な課題です。そのためには、インプットメソッドの対応が必要になります。

 Windowsでは、すでにそのためのAPIが用意されていて、それを利用してExcelのフリガナ関数が実装されています。Linuxなど、ほかのプラットフォームがどうなっているかというと、インプットメソッドに機能が揃っていません。しかし、StarSuiteとOpenOffice.orgは、マルチプラットフォーム対応がひとつの特徴になっているので、Windowsだけ先に対応するのは、あまり取り組みたくないと思っています。

 Linux向けのインプットメソッドにはいくつか種類があるのですが、IIIMFというツールがインプットメソッドを管理するフレームワークを提供しています。これを利用してATOKXなどは動作しています。このIIIMFは、サンの樋浦秀樹が中心となって、OpenI18N.orgで開発しているのです。

 現在でも、IIIMFにはかなりの汎用APIがあり、アノテーションを付加するようなことをすれば対応も可能です。しかし、それよりもマイクロソフトのものを参考にしたようなAPIを決め、それで実装していくのが良いのではないでしょうか。IIIMFの開発では、これからスケジュールなども含めて話し合っていく必要があります。さらに、ATOK Xなどの変換エンジンの対応も必要になるわけです。開発にかなり時間がかかると思うので、すぐにパッチリリースなどで対応できるということは無さそうです。

可知 StarSuiteの独自機能として一太郎フィルタがありますが、変わっていますか。

石村 それほど大きく変わっていませんが、いくつかバグフィックスされています。新しい機能は、特に加わっていません。

可知 この機能は、ジャストシステムとサンが共同で開発しているのでしょうか?

石村 いいえ違います。ジャストシステムからライセンスを受けている、アンテナハウスに開発をしてもらっています。

可知 今後、オープンドキュメントをサポートするソフトウェアは増えていくのでしょうか。

石村 増えていくと思いますよ。すでにKOfficeが対応していますし、IBMも出してくればよいですね。グループウェアやワークフロー製品が対応する場合にも、何らかの変換ツールを用意する必要がありますが、その実装もしやすくなるでしょう。そうとはいえ、オープンドキュメント自体は連携を表すフォーマットではなく、あくまで文書を表すためのフォーマットですね。

 オープンドキュメントの影響は、OpenOffice.orgやStarSuiteよりも、その外への影響が大きいのではないかと考えています。大義名分が立つものですし、営業的にもやりやすくなるかもしれません。

可知 ジャストシステムの一太郎が、オープンドキュメントに対応してくることはあるのでしょうか。

石村 そうなったら良いですね。切に願っています。

コミュニティーとの連携

可知 OpenOffice.orgコミュニティーに対して、サンの役割や立場を教えてください。サンは、スポンサーであり、同時に多くの社員がOpenOffice.orgのために作業しています。サンは、どの程度までコミュニティーの中に出てこようとしているのでしょうか。

石村 OpenOffice.orgの開発は、サンが以前に買収したStarDivisionにいたエンジニアが中心となって行っています。私自身は元からサンの社員なので、コミュニティーに参加している人たちと、立場的にはあまり違いがないと言ってもいいかもしれません。

可知 開発の主導権は、そのStarDivisonの人たちが持っていることになるのですか?

石村 歴史的な経緯から、現状ではほとんどサンの人間が各コンポーネントのオーナーやプロジェクトリードになっています。しかし、今後は外部から参加する開発者が増えていくと思います。

 当然ですが、オープンソースのプロジェクトということもあり、誰でも参加できるわけです。外部から参加したい開発者は、最初のうちはバグフィックスやパッチをIssueZillaという情報データベースに登録してもらいます。それから徐々に実力と実績を認めてもらい、コアメンバーになっていくというプロセスです。

 それでもまだ、今現在はそのような開発者の割合が多くありません。まだ少ないため、サンの中にいるメンバーが開発の中心になっているわけです。

可知 新しい開発者が増えてくるに従って、サンから関わる人は減っていくのでしょうか。

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