「忙しい」の定量化で、終電仕事を解消ITILを深める! サービスサポート編(2/2 ページ)

» 2005年07月11日 00時22分 公開
[インフォリスクマネージ,ITmedia]
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 インシデント管理の仕組みを手っ取り早く理解する方法としては、ITILの草分けの時代から活動しているカナダのPink Elephantが認定するITIL準拠製品(PinkVerify)のインシデント管理ソフトウェアの概要を調べることをお勧めしたい。ITIL準拠製品はPinkVerify Certified Toolsetsとして掲載されている。日本語化されているものもあるので、Webから情報を取得したり、ソフトウェアベンダーの説明会に出ることも良いだろう。

 インシデント管理を実施する際には、テクノロジーとしてのインシデント管理システムも必要ながら、その組織基盤であるサービスデスクの存在が非常に重要になってくる。どのようにプロセスを構築するかについては、ITILの青本が参考になる。例えば、インシデント管理を実施する際に注意する点や、インシデント対応のフローなど有益な情報が多い。

 インシデント管理は、ITILのフレームワークの中でも取り組みやすいものの1つ。実践することで、目に見えた効果が期待できるものでもある。

 だが、インシデント管理の導入の際の大きな障壁となりがちなのが、変化に対するIT組織内の拒否反応である。これまでの業務の流れを変革させることは、非常に勇気のあることで、なかなか理解が得られないことが多い。しかし、インシデント管理を導入して、業務のプロセスが統一されれば、効率良く、均質的で迅速な対応が行えるだけでなく、品質の可視化され、中長期的に見れば、コストの削減に貢献することになる。

 私的な経験では、このITILのインシデント管理を導入することで、それまで終電までサポート業務をしていたチームが19時には業務を終えるようになったこという例がある。その大きな要因としては、品質を可視化したことにあった。それまでは、ひっきりなしに受けるユーザーからの問い合わせがバックログ化し、終電まで対応しても翌日には新しい問い合わせが入り古いインシデントは忘れられたりする悪循環であった。

 しかしながら、インシデント管理のフレームワークを導入したことで、インシデントごとの対応品質や個人のサービス品質を統計データとして可視化し、単なる「忙しい」という定性情報を定量的なデータとして分析可能にした。また、サービスデスクを構成するチームがSLAを意識するようになり、目標をもって業務を遂行できるようになったのである。当然、サービスデスクのモラルとモチベーションも向上し顧客満足も向上した。

 前回説明したサービスデスクとインシデント管理(もしくは問題管理)は、切っても切れない関係にある。これらを上手に連携させることは、コスト削減の成功と顧客満足に対して大きな意味を持つことになってくるのである。

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