「なぜなら、世界は新たなエンタープライズLinuxディストリビューションを欲していないし、まだ必要ともしていないからだ。肝心なことは、実績と知名度を兼ね備えた少数のオプションを中心として標準化することにより、ISVが適切な開発/配備目標を定められるようにすることだ」(同氏)
さらにユーニス氏は、「ソフトウェアベンダーらが求めているのは、このゲームを前に進めることだ。つまり彼らが必要としているのは、フォーカスすべき1つあるいは2つの主要プラットフォームだけなのだ。そのニーズを満たしているのがRed HatとNovell/SUSEだ。もしどちらかが本当にダメだとしたら、ほかのベンダーにもチャンスがあるかもしれないが、どちらもダメではない」と付け加える。
しかしクズネツキー氏によると、これらの企業が手を組むのが賢明だと思える理由はまだあるという。
「各社の規模と財務内容の健全性という点で考えた場合、もし開発コストとサポートコストの対象をより多くの顧客に拡大することができれば、今後も競争を続けることができるだろう」とクズネツキー氏は話す。
Yankee Group Researchの上席アナリスト、ローラ・ディディオ氏も、Debianを軸とした連合が奏功する可能性があると考えている。
「絶対に不可能だとは言い切れない」とディディオ氏。
「しかしRed Hatは、Linuxディストリビューション市場で支配的地位を固めつつあり、米国内でも国外市場でも、四半期出荷数量、四半期売り上げおよび顧客ベースでほかのプレーヤーとの差を広げている」と同氏は指摘する。
「先ごろ発表された最新の財務データによると、Red Hatは直近の四半期で19万ユニットを出荷した。これに対し、同社に最も近いライバルであるNovellの同時期の出荷数は1万9000ユニットだ。これは非常に大きな差だ」とディディオ氏は付け加える。
「それに、Novellの数字は横這い、もしくは微増にとどまっているようだ。NovellがSuSEを買収して19カ月になるが、今のところ、同社の売り上げ、出荷数量、市場シェアの面で大した成果は出ていない」と同氏は語る。
「このため、Mandriva、Turbolinux、ProgenyといったLinuxディストリビューションベンダーの連合がNovellを追い抜き、Red Hatを追いかける可能性もある。しかしRed Hatの勢いがこのペースで続けば、どの企業であれ、Linuxディストリビューションでナンバーワンの地位をめぐって同社と競争できる見込みは低そうだ」(同氏)
ディディオ氏は次のように結論づける。「レースは決して終わっていないが、Red Hatは圧倒的な優位を築いた。それに同社は、IBMおよびHewlett-Packardの強力なサポートとパートナーシップも確保している。こういった事実を考え併せれば、競合企業がRed Hatに追いつくのは難しいだろう。しかしだからといって、同社にチャレンジしないのは良くない」
一方、クズネツキー氏は、「Red HatとNovell/SUSEは、収益を生み出すLinuxサーバOSソフトウェアの市場で大きなシェアを持っており、ほかのベンダーが彼らに直接立ち向かうのは難しいが、もちろん、リソースを正しく投入すれば、あらゆることが可能であることに変わりはない」と指摘する。
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