1.サービス時間
顧客に提供するサービスの時間(24時間×365日など)
2.可用性
サービス時間帯における可用性の目標値。通常はパーセンテージで表現される。例えば1年間の可用性が99.99%とした場合は、ダウンタイムは50分/年以下ということになる。ここで重要なのは、サービス全体をコンポーネント単位で測定する手法を規定することである(アプリケーション、ハードウェア、接続回線などの単位で区切るのが一般的だ)。また、これらの裏付けとなるデータがレビューポイントのタームでタイムリーに集計/解析されていることが必須である。そのため、監視能力の確立も重要な要件となる。
3.信頼性
サービスの中断の回数。あるいは平均故障間隔など。メンテナンスについては時間帯を定義する場合もある(重要性の高いコンポーネントの停止は深夜帯でないとできないからだ)。一般に通信キャリアなどでは、ユーザー借用規定(内規)として文書化されている。
4.トランザクション応答時間
アプリケーションの応答時間の平均や最大の目標時間。例えば2秒以内が95%などとパーセントで表示される。特にインターネットを介したサービスの場合は注意したいのが、自社管理網以外はインターネットゆえにベストエフォートであり、パフォーマンスが保証されるものではないことだ。後々もめないためにも、どのポイントから監視した場合の応答時間なのか、事前に定義しておく必要がある。
5.ITサービス継続性とセキュリティ
災害的状況の発生時におけるITサービスの縮退の合意であり、近年注目されているビジネス・コンティンジェンシー・プラン(BCP)を実現するためのプロセスである事業継続性管理のサブセットに位置する。詳細は次回以降の「ITサービス継続性管理」のパートで触れる。
ITサービスの維持・向上において重要なプロセスの1つとなるSLMであるが、その中でも最も重要な要素は、継続性を担保することである。ITILでは、このプロセスは監視、レビューミーティング、改善、目標値の修正と定義しているが、効率的に運用するためのプロセスとしてはISO9000やISMSのメインメソッドでもあるPDCA(Plan-Do-Check-Act)サイクルを推奨する。MSPのサービスを例に述べると以下のようになる。
1.計画(Plan)
顧客システムの監視の頻度、しきい値、障害確認手順、連絡先などを仕様書として定義し、その定義において30分以内に顧客連絡するという目標値を合意する
2.実行(Do)
合意されたサービスを提供し、当社はすべての障害検知から顧客連絡まで時間の計測を行う
3.評価(Check)
計測された時間が遅延した場合は、目標時間を超えたインシデントに対して、当初の想定外の事態がおきていないかなど合意時に用意された手順書を評価する
4.改善(Action)
ここで目標時間に到達するために手順書に変更が必要であれば、修正し合意する。また手順の修正にて改善が難しい場合は、目標を修正するなどの措置をとるときもある。その後目標が達成できているかを再度評価→改善し、このプロセスを継続的に実施していく。
両者において合意された目標値が定義され、PDCAの継続的な活動を実施していくことによりサービスの品質と顧客満足は同時に維持向上していくわけである。
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