「Writer」が目指したワープロソフトの理想とはOOo 2.0が変えるオフィスアプリ基準 第2回(3/3 ページ)

» 2005年07月13日 16時01分 公開
[可知 豊,ITmedia]
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 シンプルな書類では、実務でよく使われる要素を配置してレイアウトの違いを調べた。OOoで作成した書類は、次のようになる。これをPDFファイルに変換したものも用意した(W_test1_OOo2MS.pdf)。

画面■w_test1_OOo2MS.odtを表示した、OOoで作成したテスト文書。実務でよく使われる要素を配置してみた

 上記の文書を「Microsoft Word 97/2000/XP(.doc)」形式で保存し、Wordで読み込むと次のようになった。ほぼ問題なく表示されているが、「両端揃え」のタイトルが「左揃え」に変わってしまっている。そのほかには、特に問題は見つからない。

画面■w_test1_OOo2MS.docを表示した、OOoで作成した書類をWord 2003で読み込んだもの。タイトルが左揃えに変わったほかは、レイアウトの崩れはなく、日付やページ番号、ハイパーリンクも再現されている

 続いて、同じような書類をWord2003で作成した(W_test1_MS2OOo.doc)。

画面■w_test1_MS2OOo.docを表示させたもの。同様の書類をWord 2003で作成した

 このdocファイルをOOo 2.0で読み込むと、ほぼレイアウトの違いは見られなかった。タイトルの均等割付も再現された。ただし、余白の設定値が違うためか、余白を示す枠の位置は違っていた。このファイルをOOoでPDFに変換した物はこちらになる(W_test1_MS2OOo.pdf)。

画面■w_test1_MS2OOo.odtを表示したもの。Word 2003で作成した書類をOOo2.0で読み込んだ。レイアウトの違いは見られないが、余白の設定値が異なっていることが分かる

Wordとのファイル互換性を検証する〜長文の場合〜

 今度は、長文のレポートを作成してみる。13ページ分の分量があり、画像や箇条書きが含まれているサンプルだ(W_test2_OOo2MS.pdf)。

画面■w_test2_OOo2MS.odtを表示したもの。OOo 2.0で作成した長文レポートの例。スタイル機能を使って書式を一括管理している

 上記の文書を「Microsoft Word 97/2000/XP(.doc)」形式で保存し、Wordで読み込むと次のようになった。レイアウトには、ほぼ違いはなく、ページ数も同じになった。ただし、1カ所だけ画像とそのキャプションがページをまたいでしまった部分がある。

画面■w_test2_OOo2MS.docを表示したもの。OOo 2.0で作成した長文レポートをWord 2003で読み込んだ。レイアウトなどの崩れは見られなかったが1カ所は画像とそのキャプションがページをまたいでしまったことが分かる

 続いて、Word 2003で同じレポートを作成した(W_test2_MS2OOo.doc)。Word 2003の標準設定のレイアウトを使用したため、文章はすべて両端揃えになった。OOoよりも行間が広いので、ページ数は20ページになった。

画面■w_test2_ms2OOo.docを表示したもの。Word 2003で、長文レポートを作成する。行間が広いのでページ数が多くなった

 このdocファイルをOOo 2.0で読み込んだところ、レイアウトに大きな違いは見られなかった。ただし、見出しの網掛け色の位置が上寄りになった。また、禁則処理はOOoで標準の「ぶら下がり」になってしまった(W_test2_MS2OOo.pdf)。

画面■w_test2_ms2OOo.odtを表示したもの。Word 2003で作成した長文レポートをOOo 2.0で読み込んだ。レイアウトに大きな崩れはないが、網掛け色の位置や禁則処理に変化があった

 さて、OOoとWordを相互に利用する場合、サンプルのように単純なレイアウトであれば、ほぼ問題なく使えることが分かっただろう。段組やテキストボックスなどを多用する場合には、さらなる検証が必要ともいえる。読者には、移行判断材料として捉えてほしい。

 新規にOOoを使い始める場合、社内報やカタログのような複雑なレイアウトを作成するならば、Writerよりも図形描画ツールであるDrawのほうが使いやすいという見方もある。そのファイルをPDFファイルに変換すれば、レイアウトの崩れを心配することなく文書を配布できる(draw_flyer.pdf)。

画面■draw_flyer.pdfを表示したもの。Drawを使って、複雑なレイアウトのカタログやチラシを作る。PDFファイルに変換すれば、レイアウトを気にすることなく配布できる

 この特集「OpenOffice.org 2.0が変えるオフィスアプリ基準」の次回第3回目では、表計算「Calc」の互換検証や新機能レビューを行う。

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