失敗しない企業が選択するアプローチITIL導入成功のステップ(3/4 ページ)

» 2005年07月20日 09時03分 公開
[川浪宏之(野村総合研究所),ITmedia]

 このアプローチは、いわゆる日常の運用管理業務を改善し、システム運用品質の向上を目指そうとするアプローチである。現在、システム運用品質に課題を抱えており、その改善を目指している企業が選択する、最も一般的なアプローチである。サービスサポートの各プロセスは、相互の関連性が非常に強く、インシデント管理から構成管理までが、一連のフローとして構成されているといっても過言ではない。

 逆説的にいえば、1つのプロセスが不全に陥った場合には、サービスサポート全体の機能不全となり、システム運用品質の向上が達成されないことになる。アプローチ1は、サービスサポート全体を一連のフローと考え、同時並行的にITILを導入しようとするものである。

 ただし、実際には、リソース的な制約などにより、アプローチ1を図3のようにさらに複数の段階に分けて取組むことが多いようである。その場合、インシデント管理、問題管理といったプロセス単位に段階的に導入する方法、ITインフラやアプリケーションといった対象区分毎に導入する方法、プロセス・対象区分の2つを混在させる方法の3つがある。

 なお、どの方法を選択する場合でも、プロセスであれば「インシデント管理」→「問題管理」→「変更管理」→「リリース管理」、対象区分であれば「ITインフラ」→「アプリケーション」(実際には、システムA→システムBといった形で対象範囲を拡張していく)といった、分かりやすい順番で取組まれることが多いようである。

図3 図3■サービスサポート全方位型アプローチのパターン

 これらとは別に構成管理データベース(CMDB)の整備からサービスサポート全体の改善に取組むといったアプローチもある。サービスサポートにて利用されるデータに着目し、管理すべきデータをあらかじめ明確化した上で、データ構造やデータとプロセスとの関連性を明確化するといった、データ・オリエンテッドなアプローチである。前述のようなソフトランディング的なアプローチではないが、CMDBを中心にサービスサポート全体を一気に見直そうとする企業にとっては、有効的なアプローチである。

アプローチ2:「サービスレベル管理起点型アプローチ」

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