Ottawa Linux Symposium 3日目リポート(3/5 ページ)

» 2005年07月29日 01時11分 公開
[David-,japan.linux.com]

仮想化についてのもう1つの話題

 3日目の午後には、Intelの設計者であるゴードン・マクファーデン(Gordon McFadden)氏が、仮想化に関するもう1つの講演を行った。タイトルは「ケーススタディ:複数のディストリビューションに対するバイナリテストへの仮想化GNU/Linuxの利用」というものだ。

 マクファーデン氏が取り組んだ基本的な問題とは、複数のプラットフォーム上の複数のディストリビューションに対して、やはり複数のLinux Standard Base(LSB)テストを実施しなければならないが、この作業を実行するために追加のハードウェアは用意できないという状況だった。

 同氏の説明によると、LSBテストは時間こそかかるものの(1回に最大8時間)、CPU負荷はそれほど大きくないということだった。そこで思いついたのが、仮想マシンを利用して複数のLSBテストを同時に実行するという方法だ。1台の実マシン上の1つの仮想マシンでテストを開始し、テストの完了まで数時間から丸一日ただ待っている代わりに、同じマシン上の別の仮想マシンで別のテストを開始すればいいのではないか、というアイデアだ。マクファーデン氏がこのプロジェクトのために選んだ仮想マシンは、User-Mode Linux(UML)である。

 マクファーデン氏とそのチームが使用したセットアップは、カーネル2.6.11とXFSファイルシステムの上にGentoo Linuxディストリビューションを乗せたものである。同氏によると、Gentooを使用したことに深い意味はなく、それまでに使ったことがないので試してみたかっただけだそうだ。この仮想マシンのファイルシステムはext2またはext3だったが、ホストシステム側には、XFSファイルシステム上のフラットファイルに見えた。

 このケーススタディでは、1GバイトのRAMを搭載した4GHzのハイパースレッドシステムを使用し、Novell Linux Desktop 10、Red Hat Enterprise Linux 3および4、Red Flag Linuxに対してテストを行った。それぞれのテストケースは8Gバイトの仮想ファイルシステム上で動作し、384Mバイトまたは512MバイトのRAMが割り当てられた。

 各システムのセットアップでは、それぞれを通常どおりにインストールし、UMLカーネルによってマウントされるフラットファイルへとddを行った。ゲストカーネルがインスタンス化され、ロードされ、管理用のX-termが表示されたところでX-termにログインし、ゲストシステム上のNFSを開始し、テストを実行した。

 このプロセス全体は簡単に再使用できるハードウェア・プラットフォームであり、費用という点でも空間という点でも経済的だが、マクファーデン氏はLSBテスト自体の結果については語らなかった。

 マクファーデン氏は、仮想マシンを使ったテストには制限もあると述べた。具体的には、ハードウェアのテストには使用できないこと、そしてリソース共有が問題になる場合があることだ。たとえば2つのカーネルがネットワーク・インタフェースの制御を争っている場合は、双方でパフォーマンスが低下する。

 同氏は、自分でテストを実行するときは仮想化以外の方法も使用しているが、ブートローダーを繰り返し使用して別のOSをロードする方法では、複数のタスクを同時に実行できないときは非常に時間がかかると述べた。VMwareを使用するという方法もあるが、VMwareは既によく知っていたので、今回は新しいものを学ぶためにあえてVMwareを使用しなかったそうだ。

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