「ベストプラクティスに貢献したい」、CAに招聘されたITIL筆者

ITILのユーザー団体itSMFの創立者で実際に書籍を執筆したブライアン・ジョンソン氏がCAに招聘された。同氏は「CAがITILをサポートしていることを明確にするのが役目だ」と話す。

» 2005年07月29日 19時57分 公開
[堀哲也,ITmedia]

 「CAがITILをサポートしていることを明確にするのが役目だ」――米Computer Associates(CA)のブライアン・ジョンソン氏。運用管理のフレームワークとなるITIL(Information Technology Infrastructure Library)のユーザー団体itSMFの創立者で実際に書籍を執筆した、ITILのキーマンの1人だ。昨年12月、同氏はCAに招かれた。

ブライアン・ジョンソン氏 ITILは大企業のものというイメージばかりが定着したが、中小企業も活用できるフレームワークだ、とジョンソン氏

 英国政府の国民貯蓄部門に初めてITILベストプラクティスの導入を成功させるなどの実績を持っており、CAではITIL実践マネジャーという肩書き。「CAはITILを初期の段階からサポートしてきた。しかし、顧客の目からそれが明らかに見えるようにしなければならない」と自身の役割を説明する。CA社内でもITILを実践し、ベストプラクティスの策定に貢献したいという。

 「CAの製品はFortune 500企業の約90%に導入されているが、彼らは情報システムにベストプラクティスを採用したいと望んでいる。当然、顧客はそれをサポートするプロバイダーを求めることになる」。CAがITILのベストプラクティスの策定をリードできなければ、これら顧客を失いかねないというのが主な理由だ。

 「2、3年前ならCAはITILなくして製品を販売できた。しかし、今はそういう時代ではない」。顧客のIITLの受け入れは確実に広がっており、ITILのベストプラクティスにCAとして貢献することで、運用管理での立場をさらに強化したい考えだ。

 ITILは英国政府機関のOGCが商標を持つ。ベストプラクティスとして採用されるには、OGCの決めたプロセスに従ってitSMFがレビューを行った上で、OGCが最終レビューを行うことになっているという。かつてMicrosoftが提案を行ったが、それがプロプラエタリすぎるという理由で英国政府が嫌がったこともある。ジョンソン氏にはCAとしてよりもニュートラルな立場としての貢献が求められる。

 同氏によると、CAでは今後1年でITILファンデーション資格者を1000人養成し、社内にもITILのプロセス導入を行っていくという。「ITILソリューションのナンバー1プロバイダー」として、教育だけでなくコンサルティング、対応ソフトウェアの充実を図る。

 また、米国の企業改革法(SOX法)に品質や監査のフレームワークが有効ということも分かっているとのことで、日本版SOX法が成立すれば日本でもITILソリューションのチャンスがさらに期待できるという。ITILに関するビジネスは、現在アジアが最も成長している。日本企業もITILの導入を実践するフェーズに入ってきており、ニーズが拡大を受けて、認定試験機関のオランダEXINも8月11日に日本支部の設立するなどの動きがある。

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