楽天の一部店舗でカード決済が10日以降不能に、流出対策で「対象外」と通告特報(2/2 ページ)

» 2005年08月05日 21時44分 公開
[垣内郁栄,@IT]
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 あんしんサービスが利用できず、カード決済が不可能になった店舗がカード決済を再び行うには、楽天が運営するR-Card Plusを利用するしかない。しかし、R-Card Plusで使えるカードは9種類。また入金も毎月10日締めの翌月10日払いと、25日締め翌月25日払いの月2回で、ほかのカード決済代行サービスと比較して使い勝手がよくない。運送会社との連携も失われる。

 ただ、手数料はクロネコ@ペイメントが決済金額の5.25%(税込)なのに対して、R-Card Plusは3.6%。ほかにシステム利用料として月額3000円と1件15円のデータ処理料がかかる。

 クロネコ@ペイメントを使っている別の宝飾店の店長も「10日以降はカード決済ができなくなる」としたうえで、「楽天からR-Card Plusに移行するよう勧められているが、審査に1カ月程度かかるため、どうするか考えている」と述べた。「確かに手数料はR-Card Plusが安いが、月額3000円のシステム利用料がネックだ」(店長)

 通販店舗の店長は、「カード決済代行サービスを使っている店舗には3つしか選択がない」として、「楽天からの退店」「R-Card Plusの利用」「代金引換、銀行振込の手数料負担」の3つを挙げた。

 ただ、R-Card Plusを利用するにしてもカード会社の個別の審査が必要で、最短でも申し込みから1カ月程度かかるとみられる。その間はカード決済が利用できない。店長は最も可能性が高いのは、カード決済ができない期間中は代金引換や銀行振込の手数料を店舗側が負担することだといい、「当面R-Card Plusを使用せず、お客様の負担を減らす方法で楽天内で生き残るには、これしか選択肢がない」としている。いずれにしても売り上げが下がることは必至との認識だ。

 8月1日に会見した楽天の代表取締役会長兼社長 三木谷浩史氏によると、2005年2月に始まったR-Card Plusを利用している店舗は2400店、カード会社の承認を待っているのは900店で、計3300店。楽天グループ広報部は、「8月1日の会見以降、非常に伸びている」としているが、楽天の全出店数は約1万3200店舗なので、まだまだ少ないのが現状だろう。利用できるカードの制限や入金タイミングを問題視する店舗が多いと見られる。

楽天は「これから代行サービス会社と相談」

 カード決済代行サービスを提供する企業にも困惑は広がっている。ネットプロテクションズは、「楽天があんしんサービスを始めると100%NPカードサービスは利用できなくなる」と説明。すでに数件の店舗から相談を受けていることを明らかにした。

 楽天から店舗に送信された電子メールによると、あんしんサービスの申し込みは8月3日にスタート。8月8日に申し込みが終了し、8日までに申し込みがない店舗は10日10時からカード決済が使えなくなる。あんしんサービスの運用は11日から。

 楽天グループ広報部では代行サービスを利用する店舗の扱いについて「店舗が顧客のクレジットカード番号を入力する形式の代行サービスは、現時点ではあんしんサービスの対象外。現状では、カード決済ができなくなる。これから代行サービスの提供会社と相談したい」としている。現時点で代行サービスを使っている店舗は「非常に少ない」という。

 通販店舗の店長は「ユーザーのことを考えてスピードを持って対応するのは重要だが、店舗側とのコンセンサスがぜんぜん取れていない。楽天側が決めたスケジュールは急すぎて、切り替えが間に合わない」と指摘し、「楽天と出店者の立場が変わりつつあるのか」と述べた。

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