Googleは、オープンソースを有効活用している代表例として名前が挙がることが多い。Googleとオープンソースとの関わりあいについて、同社のオープンソース・プログラム・マネージャーであるクリス・ディボナ(Chris DiBona)氏から話があった。
ディボナ氏は、GoogleがLinux、Apache Tomcat、SSH、SSLを多用していることに言及した。そして、Googleがオープンソースを活用しているのは、人材確保や広報宣伝のためではないと述べた。「率直に言って、その類の話ではありません。さまざまな意味で、われわれの存在自体がそういうものなのです」
ディボナ氏は、Googleのルーツが学術的な組織であることが、オープンソースに対するGoogleの姿勢と大いに関係していると説明した。また、外部のコード要件に応じた制御や独自性という点も、オープンソース・ソフトウェアを利用する理由だと述べた。「われわれは、コンピュータ・サイエンス企業としての歴史を確実に維持していきたいと考えています」
Goodwin Procterの弁護士であるIra Heffan氏からは、オープンソース・プロジェクトに安全に関与する方法についての話が聞けた。同氏によると、企業で特によく見られる間違いが、オープンソース・ライセンスの告知条項に対する誤解である。
「ライセンスにはさまざまな種類のものが数多くあります。その任務を果たし、きちんと噛み砕く必要があります」
Heffan氏は、オープンソース・プロジェクトと企業が関わる法的論争の違いについて説明し、世界中に散らばっている開発者の一団を訴えるのは、大きな利益を上げている企業を訴えるよりずっと難しいと述べた。「そして、特許を持つ企業が、標的にする相手を品定めしていると、音楽業界と同じような状況に陥る可能性があります。個人を標的にするのはうまくいかないのです」
オープンソースへの参加に関心を抱いている人に対しては、Heffan氏は、プロプライエタリなプロジェクトとオープンソース・プロジェクトの区別をきちんとすることの必要性を強調した。また、オープンソース戦略をスムーズに進めるためには、企業の上層部の関与が欠かせないと述べた。
「往々にして、『いったい何をしようというんだ? タダで何を配るんだ?』という話になりがちです。会社全体で進めることが重要なのです。そして、そのように進めるためには、必要な範囲でできるだけ上層部の関与が欠かせません」
OSCONの参加者は2000人と報じられている。その多くは、所属する企業から、オープンソースの利用やオープンソース開発への関与について深く掘り下げよとの命を受けての参加である。ビジネス・インテリジェンス関連の新興ソフトウェア会社Open Intelligenceのプロジェクト・リーダーであるSandeep Giri氏は、オープンソースについての専門的な話を聞いたり、オープンソースに関与する人たちと接したりして、刺激を得ることができたし、そうした経験ができたのはこのイベントならではだ、と述べていたが、オープンソース・ライセンスや関連する問題についてはいくぶん不安がある、とも語ってくれた。
また、タフツ大学の医療センタでプログラマーをしているPaul Silevitch氏は、オープンソース・ソフトウェアへの移行を進めることで得られるコスト削減やその他のメリットについて詳しく知りたいという目的でOSCONに参加した。「現時点では、われわれは当惑しています。私が望むほどオープンソースにはなっていません」。Silevitch氏は、ライセンスやその他の面に多少懸念があり、消化すべき情報の量にいささか圧倒されていると述べていた。
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