顧客カバレッジ拡大を牽引するOracle Direct

「競合他社の営業にも勝ちたい」──オンラインで直接対話しながら、ソリューションの提案やデモ、見積もりまで提供するOracle Directが、顧客との窓口としてより大きな役割を担いつつある。

» 2005年08月11日 16時40分 公開
[浅井英二,ITmedia]

 「競合他社のコールセンターに勝ちたいし、競合他社の営業にも勝ちたい」──こう話すのは、日本オラクルでOracle Directを統括する岩田健一本部長。

 2002年6月、オーストラリアのシドニーオフィスで試験的にスタートした顧客との新たなコミュニケーションチャネル、「Oracle Direct」が大きな成果を挙げつつある。日本オラクル全体の2005年5月期の売上高は約830億円だったが、そのうちOracle Directが関わったものは180億円から190億円に上るという。

岩田本部長

 Oracle Directは、オンラインで直接対話しながら、顧客がやりたいこと、困っていることを把握し、ソリューションの提案やデモンストレーション、見積もりまで提供する。2003年からは東京に拠点を移し、コンサルタントや技術者の経験者を約80名配置、フィールド営業がまだ手薄だった中堅および中小規模の顧客はもちろんのこと、大企業顧客であっても部門の小規模案件を中心に、日本オラクルのすべての顧客とコミュニケーションを図っている。

 中堅および中小規模の顧客や大企業でも部門となると、毎日使っているアプリケーションが中心であり、その下でデータベースとして何が使われているかをあまり意識していないことが多い。そこで、Oracle Directは、「システムが生み出す日々のデータがOracleに蓄積されているので、それを分析すれば、次の事業運営に生かせます」といった提案を行っていくのだという。

 「高度な技術も製品中心ではなく、顧客の悩みを理解し、その解決策を分かりやすく説明するよう努めている。Oracle Directは、CRMやCollaboration SuiteといったOracle製品の大規模なリファレンス拠点でもある。だからこそ、顧客の悩みが理解できるし、Business Intelligenceを活用することで、顧客を分析し、次の施策を打ち出すことができる」(岩田氏)

 現在、1日当たり100件から120件のインバウンドコールがあるが、4件に1件が商談につながっているという。

キャンペーン・トゥー・キャッシュ

 Oracle Directにコミュニケーションの窓口が一本化されたことから、彼らの役割も自ずと拡大してきている。

 例えば、マーケティング部門がイベントを開催したとしよう。商談を見つけて営業やパートナーにつないでいくという、日々の活動の経験を生かし、商談につながりやすい展示やデモの内容をアドバイスすることでイベント自体に関わっているという。

 最近では、イベント来場者へアウトバウンドでコンタクトをとる専門の部隊も設け、顧客情報を整備し、「キャンペーン・トゥー・キャッシュ」の流れを実現しようとしている。

 また、Oracle Collaboration SuiteのWebカンファレンス機能を活用し、ライブのオンラインセミナー、「iSeminar」も定期的に開催している。年間170以上のセミナーを実施し、年間の延べ受講者も8000人近くにまで達している。

パートナー支援にも乗り出す

 これまで顧客コミュニケーションの窓口として強化されてきたOracle Directだが、今後は顧客に加え、パートナー企業の営業マンや技術者にもカバレッジを拡大し、彼らを支援していきたいと岩田氏は話す。

 「オラクルだけですべてをカバーできない」と岩田氏。

 提案書の作成からデモまで、その支援内容は幅広いが、試験的にデルのオフィスにOracle Directの営業スタッフを常駐させたところ、180%もOracle製品の売り上げが伸びたという。

 「もちろん、Oracleの新しい製品を導入してもらいたいが、Oracle Directは、数ある選択肢の中から顧客に最もメリットのあるものを伝えるというのアプローチ。Oracle Directの良さを知ってもらい、より多くのリードを発掘したい」と岩田氏は話す。

 8月23日31日には、Oracle Directとしては初めてとなる「リアルの」iSeminarを開催するという。

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