BIへ本格参入するMicrosoftのインパクトビジネスインテリジェンスの行方(1/2 ページ)

 Microsoftが、同社初となるサーバベースのBIアプリケーション「Maestro」で、BI市場へ本格参戦する。同社のBI戦略と市場へのインパクトについて考えてみよう。

» 2005年08月11日 20時57分 公開
[梅田正隆ITmedia]

 Microsoftが、同社初となるサーバベースのBIアプリケーション「Maestro」で、BI(ビジネスインテリジェンス)市場へ本格参戦する。同社のBI戦略と市場へのインパクトについて考えてみよう。

 国内のBI市場において、Microsoftはこれまでちっぽけな存在にすぎなかった。その理由は、同社がこれまで正式にBIアプリケーション製品を投入してこなかったというだけのことだ。ただ、BIの分析プロセスであるOLAPに目を転じると、同社のDBMS(データベース管理システム)であるSQL Serverは、OLAPプロセスをカバーしているし、BIにおけるOLAPサーバとしてのSQL Serverは、売上高あるいは出荷本数で見ると圧倒的な市場シェアを占めている。事実、Microsoftは、SQL Server 2000において、分析プロセスの機能を無償アドオンの形で提供してきた。

新たなBIプラットフォームを提供するSQL Server 2005

 そんなMicrosoftが最近、BI市場参入の姿勢を鮮明に打ち出している。自らBI分野への積極的な投資を行っているとアナウンスするようにもなった。同社のBIへの取り組みの成果の1つが、リリースが近い次期DBMSであるSQL Server 2005だ。目玉の一つが、エンタープライズレベルのETLプロセスの実装にある。

 前バージョンで採用していたデータ変換サービス(DTS)が刷新され、SQL Server 2005からは「Integration Services」と呼ぶデータ統合プロセスを構築するためのまったく新しいETLミドルウェア・ユーテリティが搭載される。

 Integration Servicesは、大量のデータの転送および変換の高速化にフォーカスしたアーキテクチャーとなり、64bitコンピューティングに対応し、データ変換を含む処理は従来のDTSの約5倍の速さで実行されるという。(*1)

 SQL Server 2005は、このIntegration Servicesに加え、分析プロセスを担うAnalysis Sevices、レポーティングプロセスを担うReporting Servicesの独立した3つのコンポーネントによって、BIプラットフォームを構成する。これらのコンポーネントは個別に使用することが可能であり、Integration Servicesは、SQL Serverだけではなく他社製のDBMSに対応し多様なデータソースをサポートするため、組織内のデータ統合環境を改善する可能性がある。

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