オープンソースライセンスの種類過剰について語るIBMのミルズ氏(4/4 ページ)

» 2005年08月12日 14時56分 公開
[IDG Japan]
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ミルズ われわれは特許改革に深くかかわっています。われわれの見るところでは、ソフトウェア分野では、標準的な方法と手順を特許化するだけに過ぎないような特許の拡散が進んでいます。

 ソフトウェアの利用方法として圧倒的に多いのは、ビジネスプロセスをコード化することによって、それをコンピュータ内部で再現できるようにすることです。人間に作業させる代わりに、コンピュータにやらせようということです。そこにはプロセスがあり、それを実行するための手順があります。

 購買注文を作成する方法や元帳に登録する方法など、古典的なビジネスの手法を考えてみましょう。われわれは現実の物理的な業務に注目し、「これをどのようにデジタル化しようか? 現実のプロセスあるいは手順のコンピュータアナロジーを作成し、それを常に再現できるようにするには、どうすればよのだろうか?」と考えるわけです。これはソフトウェアがその出現以来、ずっと果たしてきた機能です。

 こういったものに対して、「これは特許の対象とすべきなのか?」という疑問が生じているわけです。これは人々が1950年代に行っていたフォームに記入する手作業を、コンピューティング手順として自動化しただけであり、それによって特許を取得している企業があるのです。このことは、「これは本当に有効な発明なのか? その特許を保有している企業は、何を根拠に特許を主張できるのだろうか?」といった多くの問題を提起しています。

 製品を販売することには関心がなく、特許を保有して特許権を主張するためだけに存在する企業も見受けられます。知的財産を所有している企業同士であれば通常、両社が市場で事業を営む自由を得るために相互にクロスライセンスすることに合意します。ですが、特許を所有しているだけの企業とは合意するための基盤が存在しません。

―― しかし、特許を保有する理由として有効かつ重要なものもたくさんあります。

ミルズ 確かに、本当の発明や本当の創造もあれば、発明に基づく価値が認められるものもあります。ソフトウェア特許の世界で起きているのは、本当の発明と、教科書に書かれていることを特許に変えているに過ぎないものとの間の境界線がぼやけてしまい、非常に複雑かつ困難な状況をもたらしているということです。

 インタフェースの特許、単純な方法の特許、世界各国の特許局の認可が実際に得られるかどうか疑問な特許などに関する政策を修正するという形で特許改革が行われることを望んでいます。また、認可に先だって特許が公表され、その妥当性を吟味する機会が与えられることも強く望まれます。このことは欧州や日本で論議されてきました。米国でも少し論議を呼んでいますが、まだ今日の特許プロセスの一部にはなっていません。

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