.NETテクノロジーとSOAの関係(4/5 ページ)

» 2005年08月15日 03時28分 公開
[下村恭(ハンズシステム),ITmedia]

Visual StudioによるSOAベースデザイン

 アプリケーションデザイナでは、システム全体の構成を記述することから始める。実際の設計では、さまざまな粒度のサービスが考えられるが、ここでは、一番大きな粒度のサービスを単位に設計することになる。サービスを分割していった細かい粒度のサービスは、システムデザイナで記述することになる(名前の付け方が逆のような気もするが、全体をアプリケーション、その一部をシステムとしたようだ)。

 アプリケーションデザイナなどで記述する方法とは、UIとビジネスロジック、データストレージなどのコンポーネントを、例えば、リッチクライアントとアプリケーションサーバ、データベースという構成としてSDMダイアグラム上に配置する。これを接続していき、ダイアグラムを完成させる。まさにシステム設計者の仕事で、どのようにアプリケーション全体を構成していくのかという情報を記述することになる。

 次に、アプリケーションデザイナやシステムデザイナで設計したシステムを、どのように運用するかを考える。これはに論理データセンタデザイナを使用する。データセンタとなるサーバの負荷やキャパシティを記述したり、本社と地方事業所では異なる部分を記述したり、運用時のポリシーを記述するために使用する。これは、運用管理を行う担当者が行うべき作業だろう。

 最後に配置デザイナを使用する。これは、アプリケーションデザイナやシステムデザイナで記述した、アプリケーションなどのコンポーネントを、論理データセンタデザイナで記述したサーバなどに割り当てていくものだ。この作業も運用担当が行うことになるだろう。

アプリケーションデザイナ、システムデザイナ、論理データセンタデザイナ、配置デザイナという4つのツールが統合された分散システムデザイナでは、SDMという形で情報を集約し、設計後の開発からシステムテストや運用管理まで、情報を活用できるようになっている(Microsoft Tech・ED 2005 Yokohamaのセッション「Visual Studio 2005によるSOAの実装、講師:森屋英治氏」から)

 これら、分散システムデザイナで記述されたSDMは、単なる情報として利用できるだけでなく、コンパイルして実行することが可能だ。例えば、アプリケーションデザイナで、アプリケーションを記述する際には、具体的なプロジェクト名やアプリケーション名、使用言語といった情報を具体的に記述するように求められたり、Webサービスとデータベースをコネクタで接続するというダイアグラムを記述すると、実際に接続するデータベースサーバ名や、接続で使用する認証方法、データベース名などを具体的に記述するよう求められる。これらの情報は、設計段階では不要かもしれないが、ここで指定しておくことで、スケルトンとなるコードが自動的に生成されるようになっている。

 このように、Visual Studio 2005を使用することで、SOAによるシステム設計をコーディングやテスト、その先の配置や管理にまで浸透させ、実際に運用していくようになることを目指している。

 Visual Studio 2005のほかに、SOAをサポートするための強化が行われたのがSQL Server 2005だ。SQL Server 2005は、さまざまな機能強化が行われており、特にSQL CLRはVisual Studio 2005との連携という点でも強力な新機能だが、この機能はシステム構築の上で柔軟性が増す効果があるため、SOAの実現においても歓迎すべき点だ。

 また、SQL Server 2005から、非同期にメッセージを送受信できるようになった。これはメッセージやコントラクト、キューなどを定義したり、メッセージを送受信するためのT-SQLの構文拡張がメインだが、これに加え、HTTPエンドポイントが追加されたことで、非同期メッセージングのためのサービスブローカをWebサービスでラップすることが可能になった。さらに、SQL Server単独で(IISなしに)Webサービスをホストできるようになった。これはストアドプロシージャをWebサービスとして公開できることを意味する。

 これらSQL Server 2005の機能拡張により、SOAで設計されたシステム構成をより柔軟に実現できるようになる。

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