更新見合わせる企業顧客に対処、MSがVista配備を簡素化する「WAIK」用意

企業顧客がWindowsのアップグレードを見合わせる最大の理由は、その配備作業が大きな負担となるからだ。Microsoftは、この簡素化を重要課題として挙げ、「WAIK」を用意する。(IDG)

» 2005年08月15日 10時12分 公開
[IDG Japan]
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 Microsoftは、企業ユーザーがWindowsのアップグレードを見合わせる最大の理由に対処する考えだ。OSの配備を容易にする新ツールをWindowsの次世代版に含めるというのが同社の作戦だ。

 この新ツールは「Windows Automated Installation Kit」(WAIK)と呼ばれ、Windows Vistaに含まれる予定だ。Vistaは2006年末ごろにリリースされる見込み。

 MicrosoftのWindowsクライアント部門のグループプロダクトマネジャー、グレッグ・サリバン氏によると、このツールは企業のITプロフェッショナルが新しいハードウェアにWindowsを導入するのを支援する。OEMおよびシステムメーカーが販売するPCにWindowsを導入するのにも役立つという。

 Windows Vistaのβ1に含まれているWAIKバージョンのユーザーマニュアルは、http://www.microsoft.com/downloads/details.aspx?FamilyID=fe43b82d-da66-4481-a904-270511a061b8&displaylang=enからダウンロードできる。

 従来、Windowsを導入するのは容易ではなく、アナリストらによると、OSの新バージョンが登場しても、必ずしもユーザーがアップグレードしないのは、それが大きな理由だという。

 AssetMetrixの研究所が最近実施した調査によると、現行版WindowsであるWindows XPの1つ前のバージョンとなるWindows 2000は、Microsoftが6月30日に基本的なサポートを終了したにもかかわらず、現在でも最も広範に配備されているWindowsクライアントだという。

 Windows Vistaのリリースと同時にユーザーにアップグレードを促すために、Microsoftは、OSの配備の簡易化を重要課題として挙げている。同社では、OSのアップグレードの迅速化、低コスト化、簡易化を実現する考えだ。

顧客は「5〜7年で更新が妥当」と考える

 Directions on MicrosoftでWindowsとモバイル分野を担当する主席アナリスト、マイケル・チェリー氏によると、一般にユーザーは、MicrosoftによるOSのアップデートサイクルと比べ、それほど迅速にWindows OSをアップデートしないが、これは主として配備作業が大変だからだという。

 「どんな企業でも、3〜4年ごとに技術を変更したいとは思わないだろう。5〜7年のアップグレードサイクルが妥当だと考えているのだ。企業ユーザーは、新OSのリリースに対して1回置きにアップグレードするという戦略を採用している」とチェリー氏は指摘する。

 これは、現在Windows 2000を使っているユーザーは恐らく、Windows XPではなくWindows Vistaにアップグレードする可能性が高いことを意味するという。「だから、Windowsの次期版の配備が、できるだけ簡素化されることが重要なのだ」とチェリー氏は話す。

 配備が簡素化されれば、Windowsユーザー全般にアップグレードを促すことにもなる、と同氏は付け加える。「だから、Microsoftがこの課題に取り組んでいるのは、良いことだ」(同氏)

 しかし、配備を容易にするためのツールの有用性は、実際の使用の場でしか実証することができないため、WAIKがMicrosoftの目標を実際に達成するかどうかが分かるのは、だいぶ先のことになりそうだ。

 サリバン氏によると、WAIKとは別に、Vistaには配備を容易にするための改良が盛り込まれるという。これには、新しいファイルベースのイメージングフォーマットや、Windows Vistaのイメージを構築するための新しいイメージングツールなどが含まれる。

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