EAとSOAはビジネスでバリューを出す両輪夏季集中講座 「成功するSOA、失敗するSOA」

「経営戦略としてのSOAとは何なのか?」──この連載「成功するSOA、失敗するSOA」では、SOAでビジネスを変革するヒントを紹介していきます(日本BEAシステムズ著「ビジネスはSOAで変革する」からの抜粋です)。

» 2005年08月17日 08時00分 公開
[IDG Japan]

 SOAとEA(エンタープライズアーキテクチャ)は同じですか?」と聞かれることがあります。確かにEAとSOAは共通部分が多いので、ここで簡単に説明しておきましょう。

 EAとは、企業および政府などの組織で、業務手順や情報システムの標準化、組織の最適化を進め、効率良く組織運営を図るための設計思想・基本理念を指します。

 EAを推進する際、「標準化」や「IT基盤」などのキーワードが必ず出てくることや、最終的に目指す姿が「全体最適」であることから、SOAと混同されるのだろうと推測されます。

 しかし、SOAはシステムの中でも、特にソフトウェアのアーキテクチャに注目した考え方です。

 一方、EAはハードウェア、OSの選定・標準化、セキュリティポリシーの策定、個人情報保護に関するシステムの対応、プロジェクト管理体系の整備も含んだ広範囲な考え方です。

 もう少し違う表現をしてみましょう。

 まず目的は「ITの整合性をとる」「全体最適を目指す」ことで、両者同じです。EAは業務分析(自社のビジネスプロセスを見直すこと)から技術の標準化を作成し、全体に適用していく手順を踏みます。SOAも業務プロセスが10であろうと100であろうと、同じアプローチをとります。

SOAは優れたエンジンの設計図

 それでは、どこが違うのでしょうか?

 SOAの扱う範囲がEAと比べて狭いと思われるでしょうが、SOAの対象としているものは、ソフトウェアの構築方法の部分で、ここのつくり方によっては初期コストやランニングコストが大きく変わります。EAを検討する上で最も重要な部分です。

 先般も世間の注目を浴びた大手金融機関のシステムトラブルや企業統合の際のシステム統合に関わる部分がSOAの範囲であり、企業経営に直結するところです。

 それでは、どちらから取り組むのが正解なのでしょうか?

 「EAとSOAはビジネスでバリューを出す両輪」と考えることができます。EAを自動車全体の設計図とすると、SOAはエンジンの設計図に当たると考えてもよいでしょう。良いエンジンのない自動車は良い自動車でないのと同じく、SOAのないEAで良いITシステムはつくれません。

 EAによりITシステムを再構築し、柔軟なITシステムを実現させるためには必ずSOAの推進に力を入れる必要があるわけです


「成功するSOA、失敗するSOA」

  1. 「物理的にムリ」と情報システム部門が言う
  2. SOAと相性の良い企業、悪い企業
  3. SIへの丸投げが企業を衰退へと導く
  4. SOAは担当者だけに任せるには重要すぎる
  5. 最大の抵抗勢力、それは社内エンジニア
  6. EAとSOAはビジネスでバリューを出す両輪
  7. SOAはビジネスコンサルだけで実現できない
  8. SOAはツールだけで実現できない
  9. SOAを成功させる組織とは?
  10. SOAを始めよう

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