IntelがデュアルコアのPentium 4を急いだ訳は?(2/2 ページ)

» 2005年08月19日 15時35分 公開
[IDG Japan]
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 Pentium Dプロセッサは、1つのシリコンダイに2つのPentium 4コアが一緒に置かれている。それは、2つのコアの動きを調整する幾つかのロジックがなければならないという問題を生じさせる。また、それらのトランジスタも小さなパッケージに押し込まなければならないとダグラス氏は話した。これは、克服しなければならない信号系の問題を引き起こすという。

 Intelはまた、2つの高速プロセッサコアが発生させる熱をモニターするために特別なサーマルダイオードをデザインしなければならなかったとダグラス氏。

わずか9カ月の強引な開発計画

 Intelは合計9カ月でSmithfieldプロセッサコアを完成させたとダグラス氏は話す。Microprocessor Reportの編集長、ケビン・クルーウェル氏によれば、同社の標準的な開発スケジュールに照らして、主要なプロセッサのデザインとしてはとても強引な目標だという。

 「デザインには何年もの歳月が費やされる。しかし、Intelにとっては、ゲームに戻り、ロードマップを提示することがとても重要だったのだ」とクルーウェル氏。

 Intelが2004年5月、2つのシングルコアデザインをキャンセルし、マルチコアチップに専念すべく、Smithfieldプロジェクトを公にしたころ、同プロジェクトが始動した。同社では、シングルコアデザインでさらにクロックスピードを高めていくには、チップから発生する過度の熱をうまく処理するさらなる技術的な取り組みが必要だと認識していた。

 そのころ、AMDは既にOpteronサーバプロセッサのデュアルコアバージョンに取り組んでおり、2004年9月にはデモしている。AMDはこの4月、IntelがSmithfieldをローンチした数日後に、デュアルコアOpteronチップを発表した。その後、デュアルコアのデスクトップ向けチップもリリースしている。

 ダグラス氏によれば、Smithfieldで強引なスケジュールが組まれたひとつの理由は、競合の名こそ言及しなかったが、AMDの動きに対抗する必要があったからだという。

 「競合上、対抗措置が必要だった。われわれは後塵を拝していたのだ」とダグラス氏。

 クルーウェル氏によれば、強行スケジュールだったにもかかわらず、SmithfieldはIntelをデュアルコア時代に導くには十分うまくデザインされた。

 「最善のソリューションではないが、実行可能なソリューションだ。それは稼動し、まあまあうまく稼動した」(クルーウェル氏)

サーバ向けPaxvilleを前倒しでリリースへ

 Intelは、Paxvilleとして知られるサーババージョンのSmithfieldをデザインするにはさらにもう少しの時間を要した。例えば、バスの効率が悪いため、Paxvilleでは2つの独立したフロントサイドバスを用意した。また、チップの消費電力を低減するのを助ける改良されたパッケージもPaxvilleに間に合わせたという。

 Paxvilleは計画を前倒しして今年後半にリリースされる。2ウェイ用と4ウェイ以上用の2つのバージョンが用意される。当初は2006年のリリースを予定していたが、Intelは8月15日、今年後半に出荷すると発表した。さらにサーバ向けのデュアルコアプロセッサとしてはDempseyのコードネームで開発が進められており、こちらは2006年第1四半期に登場する。

 将来のマルチコアデザインには、さらに課題が生まれるだろうとダグラス氏は話す。ポイントツーポイントのバスや統合されたメモリコントローラーは、OpteronやCellといったほかのマルチコアデザインでは顕著な機能となっている。こうしたデザインは、性能を改善するのを助けている。しかし、Intelはこのコンセプトに必ずしも飛びつく必要はないと彼は話す。電力をプロセッサに送るためにより多くのピンが必要になり、それは歩留まりを悪くするからだという。

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