Impressは、Drawとほぼ同じ図形描画機能を備えているが、寸法線や図形を合成する機能を省略している。代わりに、単純な矢印を描くボタンが使いやすい位置に追加されている。
OpenOffice.orgのDraw/図形描画機能では、線分がアンチエイリアスで表示されない。
そのため、図形の周囲のギザギザ(ジャギー)が目立つという欠点がある。Microsoft Wordなどで描いた図形と見比べると、見栄えの点で劣るように感じた。ただし、印刷したり、図形を画像に変換したときには、アンチエイリアス処理されるので、目立たなくなる。
Microsoft Officeは独立した作図ツールを持っていないので、ここでは、主にWordとWriterの図形描画機能を比較する。
Wordとを比較したとき、いちばんの大きな違いは、組織図などの図表を描く「図表ギャラリー」を持っていない点だ。
そのためWriterやDrawでは、テキストボックスとコネクタを組み合わせて組織図を描くことになる。また、クリップアートもほとんど付属していないので、Impressの場合と同じように、インターネットから入手する必要がある。
それでは、WordとWriterで描いた図形の互換性をいくつかのサンプルファイルで検証してみよう。ここでは、シンプルな図形を描いたサンプルと、Word2003とOpenOffice.org Writer(1.9.m104)で作成し相互に読み込んでみた。また、組織図など図表ギャラリを使った文書をWordで描き、Writerに読み込んでみた。
まず、Writerでシンプルな図形を用いて、サンプルを描いた。Wirterには、コネクタ機能がないので、吹き出しを用いた(D_test1_OOo2MS.odt、D_test1_OOo2MS.pdf)。
この文書を「Microsoft Word 97/2000/XP(.doc)」形式で保存し、Wordで読み込むと次のようになった。色合いや形状など、特に変化した部分は見つからなかった。Wordの図形と同じように修正できた。
続いて、Wordに用意されているオートシェイプを配置して、同じような文書を作成した(D_test1_MS2OOo.doc)。テキストボックスをコネクタで接続してある。図形は、作図用の描画領域にまとめて描画してある。
このdocファイルをOOo 2.0で読み込むと、図形の形状や色、配置に違いは見られなかったが、コネクタの配置が変わってしまった。そして、全体をひとつの図形として読み込まれたためか、図形の形状を修正できなかった(D_test1_MS2OOo.odt、D_test1_MS2OOo.pdf)。作図用の描画領域を使わなければ、独立した図形となり形状を修正できた(D_test1a_MS2OOo.pdf、D_test1a_MS2OOo.odt、D_test1a_MS2OOo.pdf)。
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