「日本市場を足がかりにアジアへ」とSalesforce幹部Dreamforce'05 Report(1/2 ページ)

当初から口コミによる顧客拡大というマーケティング手法を重視してきたSalesforce.com。OracleによるSiebel買収で変化はあるのか? マーケティングを統括するロビンソンSVPに話を聞いた。

» 2005年09月14日 17時41分 公開
[谷川耕一 ,ITmedia]

 Salesforce.comが開催している顧客およびパートナーを対象にした年次カンファレンス「Dreamforce'05」にて、グローバルマーケティングを担当するシニアバイスプレジデントのフィル・ロビンソン氏に同社の今後のマーケティング戦略について話を聞いた。

Salesforce.comのマーケティングを統括するロビンソン氏

ITmedia セールスフォースでは、派手な広告展開をせずに顧客による口コミによるコミュニケーションを重視していると聞いています。Oracle + Siebelという新しい競合が登場しますが、今後のマーケティング手法に変化はありますか?

フィル 5年間この方法でやってきて、成功していると考えています。この方法を変えるつもりは、今のところはありません。Salesforceは、顧客の成功を第一に考えています。30万8000のユーザーが既にいて、そこに存在するコミュニティーの成功を今後も継続していきます。コミュニティーの中の10人が、それぞれ10人にSalesforceの良さを伝えてくれるといのは極めて効果的な方法です。

 口コミによるマーケティングコミュニケーションは、インターネットの力をうまく利用することです。Siebelは、口コミをマーケティングにうまく利用していました。Microsoftは、Googleを葬り去ろうとしていますがなかなかうまくいきません。これは、Googleがうまくインターネットの手法を使っているからです。

 Oracleのデータベース市場は既に成熟していて、今後大きく成長はしないでしょう。Salesforceの目指している市場は、GoogleやeBay、Yahoo!などがいる新しい市場です。ここには新しい技術がどんどん出てくるので、マーケティング戦略においてもそれらを活用していくことになります。

Oracle活用は今後もアピールする?

ITmedia これまでは、セキュアで信頼性の高いOracleデータベースを活用しているというのがSalesforceのサービスの優位性の1つだった思います。このメッセージは、今後も変わることはありませんか?

フィル 機能性の高いOracleデータベースを利用していることが、われわれの優位性だとは思っていません。Salesforceのサービスは、ハードウェアはもちろんデータベース、アプリケーションサーバなどのミドルウェアを複雑に組み合わせて実現しています。これらが統合されたうえで、高いセキュリティ性能、信頼性、そして高い機能を提供できなければならないのです。

 顧客は、GoogleやeBayの裏でどんな仕組みが動いているかなんてことは全く気にしてはいません。顧客が興味を持っているのは、あくまでも使い勝手の良さであり、これに対してはサービスのデリバリー部分に注力していきます。あなたは、Yahoo!で利用しているデータベースが何でそのバージョンを知っていますか? 知らなくても、何も問題はないのです。

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