NEC、OOWでOracleとの新たな協業の成果を披露Oracle OpenWorld 2005 San Francisco Report

Oracle OpenWorld 2005でNECは、Oracleとの協業強化の成果を披露している。開発段階から双方の要求を製品に反映させ、互いの製品の新機能や価値をタイムリーに顧客に提供するのが狙い。

» 2005年09月21日 18時41分 公開
[谷川耕一 ,ITmedia]

 サンフランシスコで開催されている「Oracle OpenWorld 2005」には、幾つかの国産ベンダーもスポンサーしたり、出展するなどして、自社のOracleソリューションをアピールしている。そうした国産ベンダーの1社であるNECは米国時間の9月20日、Oracleとの新たな協業、「Oracle−NEC Strategic Technology Alliance」とその成果について現地でプレスブリーフィングを行った。

 もちろんこれまでに、NECとOracleのあいだに協業体制がなかったわけではない。過去においては、NECが「EWS4800」と呼ばれた自前のUNIXサーバを擁していた時代には、Oracleの米国本社内に特別な組織があり、ソフトウェアの移植作業をサポートしていた。自前のハードウェアであるEWS4800が姿を消したあとも、有力な販売およびインテグレーターとして協業体制が築かれてきたのだ。

 それでは、今回の新たな協業の目的はどこにあるのだろうか。

 NECミドルウェア事業部で事業部長を務める池田治巳氏は、「現在でもOracleの新バージョンをNECとして市場に提供するには検証を必要とし、3〜6カ月のタイムラグが発生してしまう。双方の製品を組み合わせたソリューションにおいて、仕様レベルのギャップがあると、その修正にはさらに時間が必要だ。お互いの製品の新機能や価値をタイムリーに顧客に提供したかった」と、協業強化の狙いを話す。

 Oracle−NEC Strategic Technology Allianceでは、米Oracle、日本オラクル、そしてNECの3社がそれぞれ担当者をアサインし、NECの技術者が米Oracle本社内に常駐する。そして、通常のパートナーよりも早い段階で製品ロードマップを共有し、開発段階から双方の要求を製品に反映させたのだ。特徴的なのは、製品全体の品質向上というよりも、プロジェクト単位で具体的な目標を設定し、その実現に注力しているところだ。最初の目標には「ブレードサーバを利用したグリッド環境の構築」が設定され、NECのプラットフォーム技術である「VALUMO」とOracle RAC技術を融合させている。

 NECは、協業の成果をアピールすべく、今回のOracle OpenWorld San Franciscoの展示フロアにブレードサーバを持ち込み、デモンストレーションも行っている。Oracleの統合管理ツールであるOracle Enterprise Manager 10gとNECのブレード管理ソフトウェアであるBlade System Centerが緊密に連携し、OSレベルからのプロビジョニングが実現されている。

 Oracleだけであれば、あらかじめRAC環境を設定したブレードをプールしておけば、必要に応じてそれをRAC構成に追加するのは自動的に行えるが、用途(DBノードかApplication Serverノードか)やOS(WindowsもしくはLinux)も自由に切り替えながら、リソースをダイナミックに配置するにはブレードそのものの管理ツールと連携しなければならない。デモでは、DBノードの追加をOSレベルから行えることが示された。

 ハードウェア選択の際にスペックや価格はもちろん評価すべきポイントだが、多くのサーバがIntelのプロセッサを搭載し、OSにはLinuxやWindowsを採用するため、優劣がつけにくい。そのため、そのハードウェアが備えている最新の機能をアプリケーションがフルに活用できるか、そしてアプリケーションを含む管理性はどうか、といった点が選択のカギとなる。

 今回のNECのような取り組みは、性能だけではなかなか差別化できないサーバ市場に対し、アプリケーションを含んだシステムインテグレーションの提供で顧客に高い価値を提供するものだ。オープンな仕組みの下では、ベンダーごとの差別化が難しい。お互いの製品同士の機能、品質検証から一歩踏み込んだ協業関係が、新たなソリューションの付加価値を生み出している。

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