Itanium普及を後押し、「Itanium Solutions Alliance」発足

アプリケーションの移植や最適化を通じてItaniumプロセッサと対応ソフトの普及を目指す業界団体、「Itanium Solutions Alliance」が発足した。

» 2005年09月27日 22時23分 公開
[三木泉,@IT]

 Itaniumプロセッサ対応ソフトウェアの普及支援を行う国際的な団体、「Itanium Solutions Alliance」が9月26日(米国時間)、米国で発足した(関連記事)。UNIXやメインフレームに対する信頼が根強い基幹システムや科学技術計算の分野で、IAサーバによるビジネスを伸ばしていきたい日本の参加ベンダは、9月27日に開催された記者会見で同アライアンスへの期待を表明した。

 Itanium Solutions Allianceは、ハードウェアべンダー9社、ソフトウェアベンダー6社の参加で発足した(別表)。その目的は、インテルの64bitプロセッサ、Itanium普及の妨げになっているアプリケーション移植の遅れを打開することだ。

カテゴリ 企業名
ハードウェアベンダー ブル、富士通、富士通・シーメンス・コンピュータズ、日立製作所、HP、インテル、NEC、SGI、ユニシス
ソフトウェアベンダー BEAシステムズ、マイクロソフト、ノベル、オラクル、レッドハット、SAS
参加意思表明企業 ハイペリオン、インフォマティカ、MiTシステムズ、MSCソフトウェア、サイベース、シマンテック、ティブコ、トレンドマイクロ
Itanium Solution Alliance参加メンバー(発足時)

 同アライアンスでは、Itaniumプロセッサシリーズ対応製品ベンダーがスポンサーとなり、資金をプールして、移植や最適化のためのツールやサービスを提供するとともに、対応ソリューションのマーケティング支援活動を展開していく。また、メンバー間の協業によるビジネス機会の拡大も狙う。

 当初は、3種類のプログラムを計画している。

 1つは、Itanium採用を検討しているあらゆるソフトウェア開発者を対象とした無料セミナー活動の「Developer Day」。1〜3日間のハンズオンセミナーを通じて移植作業を実際に支援し、64bitアーキテクチャを生かすためのポーティングスキルを磨いてもらう。Developer Days期間中に、多数のソフトウェア移植が完了することを目指している。2005年11月に米国カリフォルニア州サンタクララで第1回を開催する予定。東京でも12月に実施する予定。

 2つ目は「Solution Center Network」。アライアンス発足と同時に、世界で20カ所の「Itanium Solutions Center」を開設し、これらを拠点として、ソフトウェア開発者によるアプリケーション移植作業を継続的に支援していく。このプログラムでは、6カ月以内に50の独立系ソフトウェアベンダによる移植を完了させる計画だ。

 3つ目の「Solutions Catalog」は、対応製品を自由に登録できるWebカタログである。2005年中に公開する予定。

 基本的にはグローバルな枠組みの下で行われるが、国内ではNECを議長として日本分科会を設置した。国産ISVの参加を募るとともに、日本固有の問題にも対応していく。

 今回のアライアンスは、NEC、富士通、日立製作所、ヒューレット・パッカード(HP)といった競合関係にあるシステムベンダー各社が中核メンバーとなっているほか、OSについてもマイクロソフトだけではなく、OpenVMSをItanium対応させたHPのほか、レッドハット、ノベルなどのLinuxディストリビューションベンダーが参加している。そのほかにも、オラクル、BEAシステムズ、ティブコ、トレンドマイクロが参加意思を表明するなど、クロスベンダ的な性格を示しているのが特徴だ。

 富士通は、「『早く安く、ベンダー中立的に』という顧客のニーズに、ISV(の対応)は追いついていない。ベンダーそれぞれが別個に(ISVに)働きかけていくより、共同でやった方がいい」(サーバシステム事業本部事業企画部長、佐川千世己氏)と、今回の協調プログラムに参加した理由を説明する。

 Itaniumが最初に登場してから4年が経つ。企業にとって業務システム再構築は喫緊(きっきん)の課題である。同アライアンスはこの機をとらえ、IAサーバで基幹システム市場における差別化を進めたいベンダ各社の力を「Itanium」の旗印の下に再結集し、UNIXやメインフレーム、Linuxとの闘いを有利に導きたい考えだ。

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