BEAがリアルタイム版WebLogic Serverを発表、エッジ用途版も準備中

BEAは、「BEA World 2005」の開幕に合わせ、「BEA WebLogic Real Time Edition」を発表した。RFIDなどの利用を想定した、エッジネットワーク向けも準備しているという。

» 2005年09月28日 17時43分 公開
[渡邉利和,ITmedia]

 BEA Systemsは米国時間の9月27日、「BEA World 2005」の開幕に合わせ、幾つかの新製品を発表している。

 「BEA WebLogic Real Time Edition」は、WebLogic Server 9をベースにリアルタイム性能を強化したバージョンだ。BEA Systemsのマーク・カージスCTOによると、JVM(Java Virtual Machine)として使われているJRockitをユーザーがチューニングするためのインタフェースを追加したものだという。

WebLogic Real Time EditionについてブリーフィングしてくれたカージスCTO

 JVMでは、使われなくなったメモリ領域を自動的に回収する「ガベージコレクション」という動作がアプリケーションとは非同期に起動されることで、アプリケーションの応答遅延時間(レイテンシー)が大きく変動してしまうという性格がある。

 WebLogic Real Time Editionでは、ガベージコレクションの振る舞いをユーザーが調整することで、レイテンシを一定に維持することができるため、アプリケーションの応答時間を概ね20ミリ秒以内とすることができる。電気通信業界や金融業界など、リアルタイム性が求められるアプリケーションを利用する業界向けのソリューションとなる。

 また、カージス氏はまだ準備段階だとしながらも、RFIDなどの利用を想定した、エッジネットワーク向けに特化した、いわば「WebLogic Edge Network Edition」と呼べるような製品についての研究を行っていることも明らかにした。

 これは、RFIDのような非同期に通信が発生する用途を想定した、イベント駆動型のアプリケーションに対応するものだ。同様に、今後も用途/業種別に特定の機能を強化したバリエーションを拡大していくことを考えているという。

 ベースとなっているWebLogic Server 9では、「ブレンド」というコンセプトを取り入れて、Apache Beehive/XMLBeans、Spring、Tomcat、Eclipseといったオープンソースのフレームワークや開発ツールに基づいて開発されたアプリケーションの実行をサポートすることが発表されている。また、同社が「Zero Downtime」(ゼロ・ダウンタイム)と表現する信頼性向上策の一環として、ホットスワッピング機能を導入し、動作中のアプリケーションを停止せずにバージョンアップする機能も追加した。WebLogic Serverは、同社が別途展開するSOA向けの基本サービスを提供する「AquaLogic」製品ファミリーと連携し、「AquaLogic Service Bus」と組み合わされてエンタープライズレベルの強固なSOAインフラを構成するという。

管理製品ベンダーと協業

 さらに、WebLogic Server 9のリリースに合わせ、BEAはISVとの新たな協業関係を結んだことも発表した。

 今回結成された「GMA」(Global Management Alliance)には、BMC Software、Computer Associates、Hewlett-Packard、Mercury Interactive、Motive、Quest Software、Symantec、Wily Technologyの8社が参加しており、WebLogic Server 9上で動作するミッションクリティカルなアプリケーションの管理の簡素化、操作性の改善、ダウンタイムの低減などのテーマで協業していくという。BEAでは、「多くの競合他社とは異なり、アプリケーション管理製品ベンダーに関しても顧客に選択肢を提供する」としている。

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