「コンプライアンスに効く」WAFS、ブロケードと東京エレクトロンが製品投入

ブロケード コミュニケーションズ システムズと東京エレクトロンは、WAN回線経由のファイルアクセスを高速化する「Brocade Tapestry WAFS」の販売を開始した。

» 2005年09月30日 09時41分 公開
[ITmedia]

 ブロケード コミュニケーションズ システムズと東京エレクトロンは9月29日、WAN回線経由のファイルアクセスを高速化するWAFS(Wide Area File Services)製品、「Brocade Tapestry WAFS」の販売を開始した。

 WAFSは、地方拠点から本社やデータセンターにあるファイルサーバへのアクセスを高速化する製品だ。

 ファイル共有に用いられるCIFSやNFSといったプロトコルは基本的にLANを前提としており、遅延の大きいWAN回線越しでは実用に耐えないことが多い。そこでWAFSは、クライアントとサーバの間で一種のプロキシとして動作しつつ、WAN回線に特化したプロトコルやキャッシュを活用することで、WAN越しのファイルアクセスを高速化する。このため、従来のように拠点側に個別にファイルサーバを用意する必要はない。

 ブロケードのTapestry WAFSもそうした製品の1つで、拠点側とデータセンター側の両方に配置して利用する。「(Tapestry WAFSは)クライアントからはサーバに、サーバからはクライアントに見える」(ブロケードの代表取締役社長、津村英樹氏)ため、透過的に利用できる。

 Tapestry WAFSどうしは遅延やパケットロスに強い独自プロトコル「SC/IP」を介してデータをやり取りするほか、圧縮やキャッシュといったテクノロジを利用することで、WAN越しでも実用的な速度でファイル共有サービスを利用できるようにするという。

 「現在、企業のデータのうち75%は、拠点や営業所などデータセンターの外にある。そのデータをデータセンター側に持ってこれるようにするのがTapestry WAFSだ」(津村氏)。

 WAFS製品は、BrocadeのほかにもCisco SystemsやDiskSitesといったベンダーからもリリースされている。Tapestry WAFSの特徴は、読み書きの実処理と排他制御をはじめとする管理を分離して取り扱えること、Windows Storage Server 2003をベースとしており、CIFSおよびAdtive DirectoryをはじめとするWindowsベースのテクノロジとの連携が容易なことなど。

 Tapestry WAFSによってファイルサーバをデータセンターに集約し、アクセスを高速化することにより、効率の向上や集中管理による信頼性の向上や管理コストの低減といった効果が見込める。それ以上に津村氏が注目するのがコンプライアンスというニーズだ。

 個人情報をはじめとする重要なデータをデータセンターで一元的に管理することにより、「企業内コンプライアンスを劇的に改善できる。これが(Tapestry WAFSに対する)一番大きな動機付けになっている」(同氏)。

津村氏 ブロケードの代表取締役社長を務める津村氏は、「個人情報保護法をはじめとするコンプライアンスの観点からWAFSに対するニーズが高まるだろう」と述べた

 Tapestry WAFSの価格は、拠点側に設置するモデルが120万円から、データセンター側は140万円から。東京エレクトロンではパートナーを通じた間接販売に加え、ニーズに応じて直接販売の形でも提供していく。

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