グローバル中堅企業はビジネスモデルの標準化で飛躍する「次世代」中堅企業はITで利益を出す(1/3 ページ)

大企業と競争するために中堅企業こそITの力が必要だ。ITはこれまでテクノロジー、アプリケーションの順に進化してきたが、今後はビジネスモデルの標準化が進む。この新たな潮流に乗ることが中堅企業が次のステージに進むカギになる。

» 2005年10月03日 07時00分 公開
[ITmedia]

  山田 竜生(IMGジャパン)

 大企業と競争していくために、中堅企業の情報化がますます求められている。変化の激しいビジネス環境で、品質の高い製品やサービスを、低価格かつ厳しい納期に対応して提供するには、中堅企業こそ情報化を図る必要がある。そのためには、土台となる基盤システムを整備し、競争力を高めなくてはならない。

グローバル中堅企業にこそ情報基盤が必要

 中堅の中でも、生産子会社、販売子会社など海外に拠点を持ち、グローバルに活動している企業があり、ここではそうしたグローバル中堅企業のIT化についてお話したい。

 われわれIMG本社が拠点としているドイツ、スイス、オーストリアでは、500人以上の企業は約6300社、そのうち約10%の600社が5000人以上の大企業である。500〜5000人の中堅企業は5700社となっている。

 さらに、そのうち1500社がグローバルに展開する製造業者である。日本においても中堅企業のグローバル化はさらに進む方向にある。大企業の場合、その事業の規模と多様性のゆえ、現実的には複数のシステムを構築せざるを得ない場合もあるが、中堅企業の場合はその機動力を生かすためにも、グローバルビジネスモデルの標準化とERPによるグローバルシステムの構築に取り組むべきであると考えている。

 グローバル中堅企業の基盤システムへの要件としては、多言語、多通貨対応を筆頭に、グローバルでの経営の可視化、グローバルサプライチェーンマネジメント、将来の成長、ビジネスの変化に耐え得る信頼性、拡張性、柔軟性などさまざまな要素が挙げられる。

ビジネス主導の標準化を模索する

 「ITコストの大部分が保守運用に費やされている」といった話と併せ、一般に、企業のITコストは増加傾向にあると言われている。

 だが、このITコストは、テクノロジー、アプリケーション、ビジネスモデルの複雑性を標準化することで大きく削減することができる。実際に、テクノロジーとアプリケーションの領域ではこれまで、多くの企業がITによる標準化を進めることでコスト削減を実現してきた。

 しかし、テクノロジーとアプリケーションだけでは、たとえERPを導入したとしても、コスト削減への効果は限定的である。IT主導ではなく、ビジネス側の主導によりグローバルでビジネスモデルを標準化することに、コスト削減の大きな可能性があると言える。

標準化のトレンド

 ちなみに、こうした考えを持ちながら、われわれIMGの場合は、「PROMET方法論」と呼ぶ手法に基づき、戦略、業務プロセス、情報システムの視点から分析、BPRを行い、データ標準とビジネスプロセス標準を策定している。

PROMET方法論

データ標準

 経営管理情報:経営管理項目、分析軸をグローバルに定義する。具体的にはERPの組織コード体系、分析項目コード体系などを定義する。これによりグローバルな経営の可視化と迅速な意思決定が可能になる。

 マスターデータ:グローバルなマスターデータの統合方針、コード体系、運用方針を定義する。これによりグローバルに統合されたサプライチェーンマネジメント、顧客管理などが可能になる。グローバル企業ではマスターデータ管理(MDM)が特に重要になる。

ビジネスプロセスの標準

 グローバル標準ビジネスプロセス:キーとなるプロセスの抽出、要件定義を行い、標準化を行う。

 ビジネスプロセス管理指標(PI):主要なビジネスプロセスには業務改善の目標を定め、それを評価する指標(PI)を定義する。これによりビジネスプロセスの継続的なモニター、フォローを行うことが可能になる。

       1|2|3 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ