IT管理者が犯しがちな5つの過ち(2/5 ページ)

» 2005年10月04日 17時30分 公開
[Joe-'Zonker'-Brockmeier,IT Manager's Journal]

過ち#2:ドキュメンテーションと訓練の軽視

 文字が発明される以前、人類は知識の伝達を口伝えに頼るしかなかった。もちろん、知識を蓄積する方法として、口伝えはきわめて頼りない方法であり、だからこそ文字の必要が生じた。いま、仮に人類学者が平均的なIT部門を遠くからながめたとしたら、そこからどういう印象を受けるだろうか。いまだにポリシーや重要情報の伝達を口伝えに頼っている組織――きっとそういう結論を得るに違いない。

 わたしの経験からすると、ほとんどのIT部門では、スタッフとサポートを受けるユーザーとの間の情報伝達が実にお粗末である。たとえば、パスワードや自製アプリケーションのセットアップ方法などの重要情報が、中央の永続的な場所に保管されず、システム管理者の頭の中にしかない。

 管理者どうしが電子メールやIMでやり取りしている情報も、ドキュメントにして誰もが手にとれるようにしておかないと、新人には容易に知りえない。サーバやサービスへのパスワード、インストールの指示やガイドライン、ファイアウォール規則など、当該組織に固有の情報はもちろんだし、その他、自明でも標準的でもなく、既存のドキュメントのどこにも見出されない情報は、すべてドキュメント化して、誰にもわかる場所に置いておかなければならない。

 ところが、現実は理想から程遠い。IT部門の新人はまず緩慢な情報収集という過程を経てからでないと、周囲についていけない。この過程は労力と時間の無駄であり、尋ねてまわる新人も、新人の絶え間ない質問にさらされる熟練スタッフも、いらいらだけを募らせることになる。

 さらに悪いことに、スタッフは異動する。熟練スタッフが知識を書き残さず他へ移ってしまったら、重要情報は失われ、新人に伝わらない。残されたスタッフは、失われた知識を学び直す――たぶん管理者から――ことに貴重な時間を費やさなければならない。

 IT部門に新しいスタッフが加われば、必ず調整期間というものが必要になる。だが、適切な訓練とドキュメンテーションを心がければ、調整期間はいくらでも短縮できる。

 IT管理者は、ドキュメントとポリシーのリポジトリを中央に用意し、ドキュメンテーションをシステム管理者とプログラマーの任務の一部としなければならない。

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