自動車の生産現場にマッチするパッケージアプリケーションIFS World Conference 2005レポート

IFS World Conference 2005では、自動車業界がクローズアップされている。IFSの自動車業界担当のグローバルディレクター、ジュリアン・ベーコン氏に話を聞いた。

» 2005年10月04日 19時40分 公開
[怒賀新也,ITmedia]

 スウェーデンのERPベンダー大手のIFSは、年次のユーザーカンファレンス「IFS World Conference 2005」をスウェーデンのイエテボリで開催した。そこでは、同社が特に注力する業種として自動車業界がクローズアップされている。IFSの自動車業界担当のグローバルディレクター、ジュリアン・ベーコン氏に話を聞いた。

ロンドン在住のジュリアン・ベーコン氏。

 ベーコン氏は、「IFSは、自動車、ハイテク、製造業、プロセス、サービス、ユーティリティおよび通信、軍事関連など、7つの業種にフォーカスし、コンポーネントベースのアプリケーションを提供している」と話し、IFSが自動車業界に最大級のフォーカスを当てていることを示す。

 「IFS Applicationsは、自動車業界にフィットし、ビジネスプロセスをサポートしながら、国際的な自動車市場におけるユーザーニーズを満たすことができる」(ベーコン氏)

 顧客数は200社を超えた。2003年は36社、2004年は57社、2005年は42社の新規契約を獲得していることも注目される。具体的には、BMWやVolvoなど、世界的に名が浸透しているメーカーも多い。

コンポーネントを基本とするIFS Applicationsは、自動車の製造工程のサプライチェーン全体を管理するのに適しているという。

IFS Automotiveのアーキテクチャ

 自動車向けソリューションであるIFS Automotiveは、自動車業界向けの業績管理ソフトウェアである「Business Planning」、ユーザーの声を製品設計に生かすための「Customer Relationship Management」、プロジェクト管理や文書管理を行うための「Program Management」、カンバン方式やリーン生産などを実現するための「Supply Chain Management」などで構成される。また、カイゼンや品質コントロールなどを実施する「Supporting Process」も提供される。

 ベーコン氏は、自動車業界のキーワードとしてPLM(製品ライフサイクル管理)を挙げる。製品開発から製造、サービス管理まで、自動車が生産されてから、顧客の手にわたり、サービスが提供されるまで、自動車のライフサイクルを通して製品を管理するというニーズが年々高まっているという。

 また、製品開発状況や在庫量の変化などの情報を、生産の川上から川下まで、EDIなどの技術を活用して、複数の業者で共有するコラボレーションの進展もトレンドになっている。

 ユーザー事例としては、日本の本田技研と英国の製造業者が1996年にジョイントベンチャーとして立ち上げている英UYTが紹介された。同社には本田が30%出資している。UYTは、本田のCivicとCRVのサイドフレーム、サンルーフをはじめとしたほとんどすべての部品を製造しているという。

 同社では、製造、財務、エンジニアリング、人事の領域でIFS Applications 2004を活用し、業務プロセスを効率的に管理している。また、最近になって、販売店のフロアコントロールを行うためのモジュールも導入した。

 日本の自動車業界では、コアになる生産部門などでは多くは自社で構築したシステムが稼動しているといわれる。今後、システムのリプレースなどが行われる際に、欧州の自動車メーカーが、パッケージであるIFS Applicationsを自社のコアシステムとして活用していることは、日本のメーカーにとって1つの参考になるかもしれない。

IFS Applicationsのコンポーネント一覧。

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