なぜコンピュータが成果を上げないのか?情報技術による新しいビジネスシステムの創造(前編)(1/2 ページ)

コンピュータは企業にとって当たり前の存在となった。しかし、コンピュータを活用して成果はあがっているだろうか? コスト倒れになっていないだろうか? 中小企業はどう情報化に取り組むべきか。

» 2005年10月06日 08時00分 公開
[小川正博,SOFTBANK Creative]

 いつの間にかコンピュータがわれわれの周りにあふれている。コンピュータを導入しようとか、しないとか検討する段階は過ぎて、それはすでに企業にとって当たり前の存在となっている。しかし、それだけ普及したコンピュータを活用して成果を上げているかというと、必ずしもそう言えないのが実情である。コンピュータを活用しているものの、それが収益に結びつかない企業が多いのである。コスト倒れの企業が多いということになる。

 なぜそうなるのだろうか。最も大きな理由は、利益に直接的には結びつかない業務だけで活用しているからである。たとえば、財務会計処理や伝票発行業務にコンピュータを活用する例が多い。確かに必要なデータを素早く入手でき、管理業務は容易になるといった効果はあるが、このような業務で、直接的に収益に結びつけることは難しい。もともと、これらの業務は中核的業務を支援するものであり、そこへのコンピュータ活用は重要であるが、基本的なことである。そのため、これら業務単体でコンピュータの導入を行ったとしても収益的効果は少ないのである。

 企業規模が大きくて、このような支援的業務に何人もの担当者が従事していれば、人員削減効果によって収益に結びつくだろう。しかし、一般に中小企業では会計処理や伝票発行にあまり人材を割いていない。

図1 業務特質と情報技術活用の成果

 このように考えると、コンピュータ活用によって中小企業が利益を上げ易いのは、製造業務や販売業務などの中核的業務での活用であることがわかる。直接的に利益を上げる業務にコンピュータを活用して、業務の合理化を図ることが最も効果が大きい。それは同時に、企業にとって仕事量がもっとも多い業務である。まず、このことを認識したい。

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