ベストオブブリードを実現するコンピュウェアの戦略

日本コンピュウェアは10月5日に開催したプライベートイベント「Compuware World」において、ベストオブブリード戦略を改めて強調した。

» 2005年10月06日 07時29分 公開
[大津心,@IT]

 日本コンピュウェアは10月5日、プライベートイベント「Compuware World」を都内で開催した。ここでは、米コンピュウェア コーポレーション 技術部門担当バイスプレジデント ポール・セザルニク(Paul Czarnik)氏が「Value-Driven Product Strategy〜IT投資価値を最大化する製品戦略〜」と題したオープニングスピーチと、同氏へのインタビュー内容を交えて紹介する。

 セザルニク氏は、コンピュウェアの方針を「できる限り、ベストオブブリードを実現すること」と説明する。ツールベンダーとして後発となる同社は、すでに他社製品を導入している企業に対して、不足している部分を補う形での機能を提供することで市場のニーズに応えるという。

 従って同社は、イベント指向のアーキテクチャやSOA(サービス指向アーキテクチャ)を強く推進し、Eclipseの技術プロジェクトである「Application Lifecycle Framework(ALF)」にも参画している。同氏は「スイート製品ではユーザーの選択肢が限られてしまうが、ベストオブブリードであれば、機能1つ1つについて複数の製品を比べて導入することができる。われわれはより多くの選択肢をユーザーに与えたいのだ」と説明した。

セザルニク氏 米コンピュウェア コーポレーション 技術部門担当バイスプレジデント ポール・セザルニク氏

 同氏は今後、Microsoft .NETとJava Platformsがアプリケーション開発の多くを占めるというレポートを提示し、「メインフレームは今後減少していくだろう」と推測。

 さらに、独自標準を推進する非オープン系のマイクロソフトとオープン化を進めるIBMを例に出し、非オープン系が40%、オープン系が20%、両方を利用するユーザーが40%になると分析した。コンピュウェアは.NETとJavaの両方をサポートしていくことを強調し、両方を利用する40%の市場を主にカバーし、「.NETとJavaに投資している会社に対して、有益なツールを提供していきたい方針」(セザルニク氏)だという。

 また、企業のCIOはITシステムの統合を図る際に、統合スイート製品かベストオブブリードかを選択する際、従来はさまざまな悩みを抱えてきたという。

 例えば、スイート製品を選択した場合、単一ベンダーに囲い込まれて製品の自由度が低くなるほか、必要な機能を得るために不必要な機能まで購入せねばならず、不要な投資を行ってしまう問題がある。また、ベストオブブリードを選択した場合には、ベンダーの異なった複数の製品を統合せねばならず、統合のためのツールや手間が発生し、その負担をユーザーが担う必要がある。その点、コンピュウェアはオープンなアーキテクチャを採用することで、.NETやJavaの混在環境であっても、「それらの製品をゆるやかに統合する」(セザルニク氏)方針だ。

 セザルニク氏は、ユーザーの声を取り入れることと品質の重要性を強調する。同社では、セールスチャンピョンと呼ばれる社員が、各国を訪問しユーザーの声を聞いて優先順位付けを行い、製品に取り入れている。

 日本には、セールスチャンピョンが年2回ほど訪れているほか、ユーザーが米国本社を訪問して要望を説明したり、ユーザーグループが要求を上げることも多いという。同氏は日本ユーザーの特徴を、「新しい技術を取り込む意欲がおう盛だ。特に無線技術など、消費者向けの技術は世界最高峰だろう」と述べた。

 日本コンピュウェア 代表取締役社長 梨澤利隆氏は、コンピュウェア製品を必要とするユーザーを、「より高い品質を安く提供しようとするユーザーが向いているだろう。品質とスピードという相反する問題を解決するのに適している。また、製品や開発の管理をきちんと行いたいユーザーは、当社の取り入れることで悩みを解決できるだろう」と説明。セザルニク氏は、「当社はとにかく最高の品質を保つことに価値を置いている。そのために、ユーザーの声を多く取り入れるのは必須だ」と語り、同社の強みは品質であることを強調した。

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