「Webプラットフォームは脅威にあらず」とMS幹部

レイ・オジー氏らMS幹部は「Webプラットフォームの台頭がパッケージソフト販売というビジネスモデルを危うくする」との見方を一蹴、「脅威ではなくチャンス」だと語った。(IDG)

» 2005年10月07日 11時27分 公開
[IDG Japan]
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 Webは次第にアプリケーションを開発、配布、実行するためのプラットフォームになっており、Windowsがしばしば演じてきた役割を飛ばすようになっている。そんな中で、Microsoftはこの変化に適応し、これを脅威ではなくチャンスととらえている――同社幹部が10月5日、サンフランシスコのWeb 2.0カンファレンスで語った。

 「本当に興味深い時代だ。当社の戦略を決めるポジションにいるほとんどの人と話してみると、今は物事が大きく変わりつつある時期の1つだという意見が一様に見られる」とMicrosoftのCTO(最高技術責任者)レイ・オジー氏は語った。「ビジネスを駆動するもののほとんどの側面が、何らかの点で形を変えている」

 システムの構築モデル、それを構築する理由、構築の方法は流動的だとオジー氏。同氏はほかのMicrosoft幹部2人とともに、カンファレンス議長のジョン・バテル氏や、司会者のティム・オライリー氏からの質問に答えた。

 Microsoftが最近組織を再編し、MSN部門で開発されたインターネット技術にさらに重点を置いていることは、コンピューティング世界の変化に対応したものだとMSN情報サービス担当上級副社長ユースフ・メヘディ氏は語った。

 「この組織再編は、WebサービスとMSNで始めた事業の一部が、MSNだけでなく、当社の開発するすべてのソフトにとってより中心的なものになるという認識の表れだ」(同氏)

 同氏は、Webプラットフォームの台頭がWindowsやOfficeなどのパッケージソフトを販売するというビジネスモデルを危うくし、Microsoftの売上がダメージを受けるかもしれないというバテル氏の見方を一蹴した。

 1つには、MicrosoftはWebサービスを実現する企業として利益を得られるからだとメヘディ氏。「オンライン広告でも、オンライン取引でも、われわれは大いに、明確にWebサービスのビジネスチャンスを信じている。この市場の成長は無限だ」と同氏は語り、Microsoftはこのチャンスを活用するところまで来ているとした。

 また、同社が変化に適応するにつれ、WindowsとOfficeはWebサービス力学の一部になると同氏は言い添えた。

 さらに、例えばOfficeが丸ごとWebに移行されると考えるのは間違っているとオジー氏は指摘した。電子メールなど一部のアプリケーションはWebに順応できるが、そうでないものもあると同氏。

 「顧客が手に入れようとしているのは、自らが達成しようとしてるものに対する真に優れたユーザー体験だ。幾つかのもの――メールがいい例だ――にとっては、Webは実際に、われわれが初めは可能だと思っていなかったかもしれないものを達成する素晴らしいメカニズムだ。こうしたものの一部は、己の道を見つけ出すだろう」(同氏)

 しかし、機能豊富なほかのアプリケーションは、それには適さないかもしれない。「わたしは、『物事はとことんある1つの方向にいくか、あるいはとことん別の方向に行く』とはあまり考えていない。インターネットの存在とその機能により、Officeは変わるだろうが、それは段階的な変化になるだろう」とオジー氏。

 MicrosoftはOfficeで、どの機能をWebブラウザ経由で提供できるか、どの機能にリッチなクライアント側ソフトが必要かを理解するため、努力を続けると同氏は語った。

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