NECの新統合プラットフォームは「業務の変動にリアルタイムに対応」

NECは、独自のインターコネクト技術と仮想化/最適化技術を組み合わせ、1つのラックにサーバとストレージ、スイッチを統合したプラットフォーム製品「シグマグリッド」を発表した。

» 2005年10月12日 22時33分 公開
[高橋睦美,ITmedia]

 NECは10月12日、独自のインターコネクト技術と仮想化/最適化技術を組み合わせることにより、1つのラックにサーバとストレージ、スイッチを統合し、ラック内でリソースを柔軟に配分できる統合プラットフォーム製品「シグマグリッド」を発表した。

 シグマグリッドは、電源や高速インターコネクト、管理モジュールを搭載する専用ラックの「シグマフレーム」と各種モジュール、それらを管理するためのミドルウェア「WebSAM SigmaSystemCenter」から構成されている。Webサーバやデータベースサーバ、あるいはシンクライアントの本体となる仮想PCシステムといった既存のさまざまなサーバを1つのラックに統合し、運用/管理コストの削減を図ることが製品の目的だ。

シグマグリッド シグマグリッドの本体

 シグマフレームには、同社のIAサーバ「NX7700iシリーズ」や「Express5800シリーズ」を「CPUモジュール」として搭載できる。同様に「iStorageシリーズ」はストレージモジュールとして、「UNIVERGE IP8800」やシスコシステムズ、ブロケードのネットワーク機器はネットワークモジュールとして格納可能だ。ただし、既存のサーバやストレージをそのまま搭載することはできず、専用のアダプタを追加した製品が必要となる。

 とはいえ専用コネクタと高速インターコネクト「シグマハイウェイ」により、面倒なケーブル配線の手間を省くことができる。またSigmaSystemCenterを組み合わせることで、各モジュールの着脱を自動的に認識し、容易に構成/プロビジョニングを行える点がメリットだ。

SigmaSystemCenter SigmaSystemCenterによるデモンストレーション。柔軟にリソースの割り当てを行えるという

 シグマグリッドはまた、CPUとI/Oを分離し、さらに共有I/Oモジュールを活用することで、必要に応じて柔軟に構成できる「フローティング I/O」技術を実装している。これとSigmaSystemCenterを連携させることにより、利用状況やニーズに応じてリソースの解放と再割り当てを行い、最適化を実現できる。

 たとえば、社員の多い昼間は仮想PC向けに多くのリソースを割り当て、夜間になれば業務システムのバッチ処理に振り向けるといった運用が可能だ。しかもその際、処理の内容に応じてI/O共有型と直結型を切り替え、パフォーマンスを確保することができる。この結果「運用、保守性能に優れるだけでなく、業務の変動にリアルタイムに対処していくことが可能になる」(同社)。

 2006年早々には、業務負荷に応じて自動的にCPUや筐体の消費電力を制御し、最高で約3分の2の省電力運転を実現する機能も実装する予定という。将来的には、広域分散環境の統合に対応させていく方針だ。

 シグマグリッドの価格は、シグマフレームが100万円から、SigmaSystemCenterが120万円から。NECでは、サーバ300台分の環境を統合した場合で保守/運用管理費は35%、トータルコストは25%削減できるというコストメリットを打ち出し、今後2年間で500システムの販売を目指すという。

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