Siebel、SOA対応のCRMコンポーネント群を提供Siebel Customer World Report

Siebelは「Siebel Customer World」でSOA対応のCRMコンポーネント「Siebel Component Assembly」を発表した。また、BIツールの最新版「Siebel Business Analytics 7.8」も併せて発表している。

» 2005年10月19日 15時07分 公開
[渡邉利和,ITmedia]

 米国時間の10月17日、マサチューセッツ州ボストンで開催中の「Siebel Customer World」で、Siebelは新たにSOA対応のCRMコンポーネントの提供を開始することを発表した。

 今回発表された「Siebel Component Assembly」は、ユーザー企業が簡単かつ効率的に独自のCRMアプリケーションを開発する際に利用可能な基本的なビルディングブロックとなるコンポーネント群。「Project Nexus」(プロジェクトネクサス)として知られ、BEA Systems、IBM、およびMicrosoftと共同で研究開発が進められたもので、SOAベースのCRM用コンポーネントとして業界初の試みだという。.NETとJ2EEの両方のアプリケーションサーバ環境に対応し、当初はBEA WebLogic Server、IBM WebSphereおよびMicrosoftのアプリケーション実行環境をサポートする。

 この背景には、カスタムCRMアプリケーションの市場規模が240億ドルにも達しており、パッケージCRMアプリケーションの数倍の規模となっていることがある。この市場に向けて、ゼロからCRMアプリケーションを構築するよりも容易なアプリケーション構築手段として、SOAに基づく「コンポーネントの組み合わせ」で基本的な機能を実現できるようにすることを狙う。

 なお、同社のインダストリーアプリケーション担当グループバイスプレジデントのケビン・ニックス氏によると、コンポーネント群は基本的なCRM機能を実現するために必要となるFoundationセットのほかに、追加機能としてSales、Service、B2B(Partner)、B2B(Customer)が用意されており、それぞれユーザー単位のライセンスで提供されるという。これは、利用するユーザーに複雑なライセンス体系を把握することを求めるよりも、従来通りの単純な体系で利用できるようにした結果だという。

BIの最新バージョンも発表

 一方、Siebelが提唱する「Customer Adaptive Architecture」の根幹をなすのが、リアルタイムに情報を獲得して的確に分析するBIツールの存在だ。今回、最新バージョンとして「Siebel Business Analytics 7.8」の提供が発表された。既に同社と関係の深いパイロットユーザーの元で6カ月以上に渡ってテストされており、「単なる紙の上での発表ではなく、実際に動作する製品が既にある」という。

 このバージョンでは、強力な機能をエンドユーザーにとって使いやすく提供することに配慮されており、Webサービスをはじめとするオープンスタンダードに準拠している。また、Microsoft Officeとの統合も図られており、Excelなどのアプリケーションにツールバーを付与し、Excelから呼び出すことも可能になっている。Oracle、IBM DB2、Microsoft SQL Server、Teradataなど、広範なDBサポートも実現している。

 Siebelでは、Business Analytics 7.8を顧客対応担当者が利用することで、CRMシステムが提供する顧客情報に加えて、顧客との取引履歴の分析などの高度な情報をリアルタイムで取得し、適切な推奨対応を提示することでより柔軟で確度の高い顧客対応が可能になるという。こうして対応の顧客満足度を高めると同時にビジネスの根本的な目的となる収益の拡大に寄与することが、Customer Adaptive Architectureの基本的な考え方となる。

 SiebelではSOA対応も積極的に推進しており、ビジネスプロセスをグラフィカルに組み替えて改善していくこともサポートする。つまり、顧客対応から得られた反応を即座にビジネスプロセスの改良に反映していくという好循環が起こるのである。Siebelの狙いはCRMを単独のアプリケーションとして発展させていくことではなく、顧客中心の視点からビジネスプロセス全体を改善していくことを支援することにあるとみてよいだろう。

 Siebel Business Analyticsのマーケティング担当バイスプレジデントのポール・ロドウィック氏はSiebel Business Analyticsについて、「既存のBI製品はビジネスアナリストを対象とした分析に特化したものばかりで、CRMとの組み合わせを想定した製品はSiebel Business Analyticsのみだ。その一方で、リアルタイムの分析機能などは高く評価されており、当社のCRM製品を使っていないユーザーがBusiness Analyticsを単独で使っているケースもある」と製品機能に自信を見せた。

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