HP CEOが掲げた顧客への約束

HPのハードCEOはHP Technology Forumで来場者の質問に答え、カスタマーサービスの改善に力を入れることを約束した。

» 2005年10月19日 16時57分 公開
[Carmen Nobel, Jeffrey Burt,eWEEK]
eWEEK

 Hewlett-Packard(HP)のマーク・ハードCEO(最高経営責任者)は、同社のカスタマーアカウントサービスに改善が必要なことを認めている。

 同氏は約4000人のHP顧客に向けたHP Technology Forumの講演で、カスタマーサービスの強化を改めて述べ、最大の喝采を受けた。

 「HPをもっとつきあいやすい企業にすることに全力を注ぐ」と同氏。

 このイベントでのハード氏の発言のほとんどは、HPのテクノロジーソリューション部門上級副社長兼米国担当マネジャー、デビッド・ブース氏との質疑応答の形でなされた。ブース氏は17日から18日朝にかけて来場者から寄せられた質問を読み上げた。

 質問の1つに、HPが1万4500人の人員を削減するときに、顧客の混乱を最小限に抑えられるのかというものがあった。

 「これはわれわれにとって問題となり得る」とハード氏。「われわれが(顧客から)受け取ったメッセージは、『HPが好きだ。HPの社員が好きだ。ただ、HPは一緒にビジネスをやりにくい会社だ』というものだ」

 人員削減の重要な目的は、顧客に直接対応する人員はそのままにして、これらスタッフがより迅速に顧客のニーズに応えられるようにさらなる権限を与えることであり、彼らの上の管理者層を減らすことがその方法の1つだと同氏は語った。

 「(HPは)チェッカーのチェッカーを取り除き、スタッフが自分の仕事をやれるようにしたい」(同氏)

 同氏のメッセージはユーザーの共感を呼んだ。「これがわたしの聞きたかったことだ」と匿名希望のある顧客は話した。「ハード氏が実際に(約束通りに)できたら素晴らしい」

 HPはまた、社内で、および買収を通じて資金を利用する上で戦略的になろうとしている。ストレージソフト会社AppIQの買収を指して、ハード氏は、この買収によって苦戦していたストレージビジネスを強化し、EMCなどに対する競争力を高めることができたと主張した。

 同氏はまた、HPが研究開発投資――現在の研究開発費は年間約35億ドル――を継続し、そのプロセスにおいては顧客からの意見が不可欠だとも述べた。「最も優れたアイデアがすべてパロアルトから出てくると考える人もいるが、そうした人は以前よりも少ない」

 これらの投資は、デジタルメディア、サーバ、管理ソフトなど、HPが中核的な強みになると見込んでいる分野に投じられると同氏。その結果、顧客の問題を解決する役に立つ製品が増えることを望んでいるとも同氏は語った。

 以前の講演で打ち出したメッセージの中で、ハード氏はパートナー、主にHP製品にコミットしていることが証明されているパートナーとの提携に継続的に重点を置くことを約束した。HPのラベルを利用していながら、製品の中身をくりぬいてサードパーティーの部品を詰めているパートナーは、ほかのパートナーと同じだけの配慮を受けられないことになる。

 「われわれが提携する相手という点で、もっと細心になろうとしているのが分かるだろう」と同氏。

 この日HP Technology Forumの講演前に、ハード氏は同じくオーランドで開かれたGartner IT SymposiumでIT専門家に向けて同様のメッセージを投げかけた。

 同氏は、「お粗末な顧客管理に対するHP顧客の不満が続いている」というGartnerのアナリストの発言を受け、「われわれは顧客基盤において莫大な資産を有している」と語った。「HPはカスタマービジネスを理解するという点で、わたしが思っているほどにはうまくやれなかった」

 同氏は、HPはこれに取り組んでいるが、1万6600人もの営業担当者を抱えているため時間がかかるだろうとあいまいに話した。

 「優れた営業部隊を築くのは、2日や1カ月、1四半期では、あるいは1年でもできることではないと思う」(同氏)

 ハード氏はまた、Dellからの継続的な圧力により、HPがプリンタ事業から撤退するという最近の噂を否定した。

 「プリンティング事業は非常に強力な事業だ。経営状態の良い事業であり、良好な業界だと考えている。われわれはこの事業でかなりの研究開発を行っている」(同氏)

 とは言え、ハード氏はHPの向こう5年間の成長事業はサーバ、ストレージ、サービスになるだろうと語った。

 向こう5年間、HPはストレージ管理をさらにシステム管理に統合すると同氏は述べた。「5年のうちにカムバックして、HPは世界最高のテクノロジストだと言えるようになりたい」

 同氏は、HPは過去に(前任者のカーリー・フィオリーナ氏の下で)犯した失敗を繰り返すつもりはないと付け加え、AppleのiPodを自社ブランドで再販するという昨年の決定を例に挙げた。

 「場合によっては、われわれはHP iPodにテープで10ドル札を貼っていた」と同氏は冗談を飛ばした。

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