明治18年創業、アパレル事業を中心とした大阪船場の老舗商社の村田長は30年にわたって自社開発してきたホストシステム上に実装された販売在庫管理システムの問題に対応し、ERPをベースにした新たなシステムを構築した。
田原 佳(IMGジャパン)
実際の導入事例を紹介することで、中堅企業のIT化の行く末を考える。
村田長は明治18年創業、アパレル事業を中心とした大阪・船場の老舗商社である。婦人服、子供服、紳士カジュアルを取り扱うアパレル事業以外に、和装、繊維資材、住宅資材、マネキンや絵画のレンタル事業なども手がけている。アパレル事業部は全社の6割以上の売り上げを占めているが、昨今の市況はそれほど思わしいものではなかった。特に、自社企画の大量仕入れ在庫をどう売り切るかが課題として浮かび上がっていたのだ。
30年にわたって自社開発してきたホストシステム上に実装された販売在庫管理システムは、業界特有の商習慣に最適化されていたものの、在庫管理が甘くなる傾向があるという欠点もあった。また、数量在庫と金額在庫の不一致が発生するケースも見られた。
入庫即出荷という業界の商習慣に対応することは必要であったが、逆に、それが現在の課題を解決する上での障壁にもなっていたのだ。そんな中で、アパレル事業部グループでマネジャーを務める川野功雄氏は、「このままではあかん」とアパレル事業部のシステムを見直すことを決めた。
当初は、全システムの入れ替えを前提としていたが、ホストが存続することになったため、アパレル事業部にフォーカスを当てた情報システムの構築を目指すことにした。
そして、情報システム部門に必要以上に頼らず、アパレル事業部内で対応できる点を考慮して導入するパッケージの選定が行われたた。最初は、アパレル商社向けといわれるパッケージアプリケーションが候補に挙がった。というのは、専用パッケージは、コスト面でリーズナブルであり、また、アパレル業界に特化しているため操作性も良さそう、手軽に導入できそうといったメリットが見えたからだ。
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