IBMとSun、OpenDocument推進の先陣に

IBMとSunはAppleやIntel、Googleなどを招き、OpenDocument推進のための会合を開いた。両社は同標準を推進するための団体を結成することも考えている。(IDG)

» 2005年11月09日 11時57分 公開
[IDG Japan]
IDG

 大手ITベンダーのグループが先週の会合で、「Open Document Format for Office Applications(OpenDocument)」をグローバル標準にする計画を正式決定した。IBM幹部が11月8日、明らかにした。

 これら企業は、Web標準化団体OASIS(Organization for the Advancement of Structured Information Standards)内に小委員会を作る計画だ。OpenDocumentをグローバル標準として利用する妨げになり得る技術的な問題に対処するため、最初の小委員会を向こう数週間以内に結成するかもしれないとIBMの標準およびオープンソース担当副社長ボブ・スーター氏。

 この小委員会は、障害者にアクセシビリティを提供するアプリケーションにOpenDocumentをより適応させるためのものだという。

 このグループはまた、OpenDocumentの利用を推進する正式な業界団体の結成も考えているとスーター氏。

 同氏によると、11月4日の会合には、主催者であるIBMとSun Microsystemsの幹部のほか、Apple Computer、Computer Associates International(CA)、Intel、Google、Red Hat、Corel、Oracle、Adobe Systems、OpenOffice.org、NokiaなどIT業界のビッグネームが集まった。

 マサチューセッツ州の州議員らは、OpenDocumentには障害者に州の文書へのアクセスを提供するプログラムとの互換性がないかもしれず、それが同州の全政府機関の文書をOpenDocumentに移行する計画の障害になるとの懸念を示している。

 2007年1月1日までに州政府機関をMicrosoft Officeなどのプロプライエタリなフォーマットから移行させるという同州の計画は、先月、州CIO(情報統括責任者)ピーター・クイン氏により最終決定された。

 クイン氏は先週の会合で、アクセシビリティの問題やOpenDocumentを取り巻くその他の問題を取り上げたとスーター氏は語る。「ピーターは、アクセシビリティコミュニティーとの話をもっとうまく進められただろうと感じていた。これはもっともな問題であり、世界的な問題だ」

 OpenDocumentは、OASISで開発されたXMLベースのファイルフォーマットをベースにした文書を標準化する仕様。テキスト、スプレッドシート、チャート、グラフィカル文書で必要な機能をカバーする。

 マサチューセッツ州政府が現在利用しているMicrosoft Office、Lotus Notes、WordPerfectなどのスイートは、プロプライエタリなフォーマットをサポートしている。OpenDocumentをサポートしているスイートには、OpenOffice、StarOffice、KOffice、IBM Workplaceなどがある。

 OpenDocument支持派は、同標準が広範に使われれば、Microsoft Officeと競合するソフトの採用が拡大すると期待している。

 「これは確かに競争的な動きだ。Office文書フォーマットはMicrosoftのコントロールポイントであり、何年も前から存在する。OpenDocumentはもっと多くのベンダーに競争のチャンスを与える」と4日の会合に参加したRedMonkの上級アナリスト、ステファン・オグレディ氏。

 マサチューセッツ州の計画はOpenDocument支持者にとって確かに重要だが、スーター氏は、IBMとSunが会合を開いたのは、同州の計画を支持するためだけではなく、同標準を世界的に推進する取り組みを始めるためだと強調した。

 「はっきり言って、これはOpenDocument批判派かもしれない人を支持者に変えるための会合ではない。同じ志を持った人々によるワーキンググループだ。北米だけでなく、グローバルで包括的な取り組みになるようにしたい」(同氏)

 ほかにOASIS内に設置される予定の小委員会には、OpenDocumentでのDRM(デジタル権利管理)のサポートに対処する小委員会と、企業がアプリケーションを同標準に準拠させる方法に関する小委員会があるとスーター氏。

 IBMは現在、正式なOpenDocument団体の提案に取り組んでおり、数週間以内に参加企業に連絡をする予定だという。スーター氏は今週デンマークで、それから今月中にインドでOpenDocument推進のための講演を行う。

 ベンダーが技術標準に関する会合を行ったものの、計画を行動に移せなかったということは珍しくないが、RedMonkのオグレディ氏は、先週集まったベンダーは、誠実にOpenDocumentへの支持を貫くと信じていると語る。

 「複数のベンダーが参加するこの種の取り組みは基盤の維持が難しく、すべての参加者が同じ考えを保って参加し続けるのは困難だ。しかしわたしはOpenDocumentは多数のベンダーにとってチャンスだと考えている。この標準が根付けば、皆の最大の利益になると思う。いずれ大きな成功が見られるだろう」(同氏)

Copyright(C) IDG Japan, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ