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» 2005年11月11日 01時01分 UPDATE

JavaOne Tokyo 2005 Report:JavaOne Tokyoで説いたSunのオープンソース・フリーダム

Javaが歩む今後10年。“Participation”で支えられるJavaは、コンピューティングそのものの抽象化という新たな局面へ向かっていることを明かした。ミコ・マツムラ氏が基調講演で語った。

[木田佳克,ITmedia]

 10日まで東京国際フォーラムで開催された「JavaOne Tokyo 2005」。最終日の基調講演で印象的だったのは、6月に米国開催した「2005 JavaOne Conference」では見られなかった、Sunとオープンソースとの関わりを説くスピーカーが何人も登壇したことだ。サンは、ネットワークへの“参加”、コミュニティーへの“参加”を前日の講演に続き、さらに強調した。

 基調講演には、Sunでチーフ・オープンソース・オフィサーのサイモン・フィプス氏を始め、Javaのアプルケーション開発教育プログラム「JEDI」プロジェクトキーパーソンのマット・トンプソン氏、経済産業省の情報政策課久米 孝氏、そしてJavaを中心としたイノベーションで夢をふくらませるSOAのキーパーソン、ミコ・マツムラ氏が迎えられた。

 オープンソースソフトウェア(OSS)コミュニティーの多くは米国発のものが多く、英語によるやり取りがハードルになっているという意見も多い。しかし、JEDIプロジェクト(詳細後述)による成功を基にして、アジア発で活発なやり取りがあることに注目を促した。サンは、“Participation Age”(参加の時代)について現在進行形でリアルな事例を示したのだ。

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 サイモン・フィップス氏は、一貫したコミュニティーベースがSunのポリシーだといい、これまでに同社がオープンソース化を行ってきたプロダクトについて触れた。

 ネットワークが世界中に普及し、社会そのものが変わった。ライフスタイルは変化し、一次作用、二次作用が起こっているがこれらは必然的なものばかりだという。その変化によってソフトウェアはサービス指向へと進化し、“Participation Age”(参加の時代)では、ソフトからの恩恵を受ける価値観さえ変わるのだと言及した。

 ソフトウェア開発について同氏は、従来のように大勢のエンジニアを雇い、コードが書き上がるまで入退出管理さえ行えば良質なソフトが出来上がる……。そのような時代ではなくなっていることを強調した。現在では、特定の企業で採用できなかったエンジニアがグローバルにネットワークを介し、会話し合っていることに注目すべきだという。

 企業は今後どのように接したらよいのか? ドアを閉めた中で祈るのか? 開かれた場所で祈るのか? 協業開発モデルはオープンソースの特徴だが、“開発者のコミュニティー作業”であることがポイントだといい、参加する開発者はソフトウェアによって富を生み出すことを目的としているのだと語った。また、開発者は共用して富を生もうとしているのであり、共産主義ではなく資本主義であることも強調した。

P1050117.jpg フィップス氏は、コモンズの意義とその真の目的についてを語った

 「自らのニーズを満たそうとした人たちの結果がオープンソースに活かされている。決して慈善活動というわけではない。そして、コミュニティーの規則(ガバナンス)やゲートキーパーが居ることが健全な発展を保証するものだ。優れたコミュニティーには優れたゲートキーパーが居る」とフィップス氏

 ほとんどのCIO(最高情報責任者)は、オープンソースの特性の一つであるソースコードを、もっともっと欲しいと何故思わないのか? それは、従来までデベロップとデプロイを行う人物がいっしょだったことに所以しているという。現在では経営者と開発者が明確に別れているため、オープンソースのソースコードが自由に改変可能という点に理解を示せない情勢もあるのだと語った。

 「On Freedom」という言葉がとても好きなのだ、とフィップス氏。自由とはなにか? それを真に考える必要があると強調し、アマゾン川を例として挙げた。

 衛星写真で確認するとアマゾンと呼ばれるのは主流のごくわずかなところ。国もまたがるほど広大であるが、支流に行けばアマゾンとは呼ばれていない。しかし、周りの人々にとってアマゾンは“コンセプトの象徴”であるのだといい、同じようにオープンソースを使うことで自由を得られるという価値観こそが注目すべき点だという。また、開発の立場だけではなく、使うユーザーの立場でも互換性が手に入るという自由があると言及した。好きな物を選ぶことができる自由。そして、企業であればサポートサービスに必要性を見い出すかもしれない。それが方向性の一つであるともいう。

 日本人は協業になれているはず。必ずオープンソースでメリットを得られるはずだ、と来場者に加勢した。

教育の場にJavaアプリケーション開発環境を提供

 続いての登壇は、末次氏からアジアの革新的な事例と紹介された、フィリピン発の「JEDI」プロジェクトキーパーソン、Sunから来日のマット・トンプソン氏。

 JEDIとは、Java Education Development Intiativeの略称。その名の通り、Javaのアプリケーション開発を教育の場で推進させようという試みだ。学生へJavaアプリケーション開発のスキルをいかに身につけさせるかが課題となっている。

 現在のところ多くの大学では、エンタープライズJavaのスキルを学ぶことができないという。その理由には、日進月歩のIT業界が対象では最新の教材が入手できず、教師の資質も関わるため陳腐化が避けられないことだという。同時に多大なコストが必要となり、思い立ったとしてもなかなか取り組めなかったことに原因がある、とトンプソン氏。

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 Sunは、フィリピン大学と提携してJEDIプロジェクトを始めた。このプロジェクトが産声を上げたキッカケは、上記の問題点をオープンソース利用で解決することができるはずだ、との確信だったという。さらに、フィリピン発のプロジェクトだが、方法論などに関してもすべてアジア全体で共有することができる体制にあるという。現在、java.netではさまざまなノウハウが公開されており、3つのコンピュータサイエンスコース、50の学校、150人の教員、1万9千人が学んでいる。

 また、同プロジェクトに対し7カ国がローカライズを希望しているといい、イノベーションは世界規模で広がりを見せていると強調した。「JEDIはアジア圏で始まったもの」。同じアジア圏として日本への期待は、どのように関わっていくかであるとトンプソン氏は語り、現在でも関心を示している国内大学があることにも触れた。

これからの10年、Javaの歩む道

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 SOAキーパーソンのミコ・マツムラ氏は、Javaの未来について基調講演で語った。「過去を振り返ると嬉しく思う」とマツムラ氏は丁寧な語りでゴスリング氏を始めとするJavaのキーパーソンに感謝の意を示した。

 最も初期のTumbling Dukeのデモアニメーション、そしてそのソースコードを初めて見た時の感激を今でも忘れないと言い、アプレットが数KBにまでコンパクトになったことに驚きを隠せなかった、と当時の感激を振り返る。

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 マツムラ氏はユニークなプレゼンテーションをいくつも用意し、「進化を許容することで可能性は広がる。“参加の時代”では何が得られるのだろう?」。ネットワークはさらに高度化する勢いがあり、バーチャル化(仮想化)の広がりが大きなイノベーションになるだろうと言及した。

 「世の中にはさまざまなプラットフォーム(プロセッサ)が存在している。Javaというものは、ハードウェアを仮想化し、抽象化を実現できた。ソフトウェア技術によって仮想化はますます進むだろう」という。すべてがネイティブに仮想化することで、何千というインスタンスをリアルタイムに処理することができ、ネットワークを介したニーズに応え、瞬時に増やすことも可能となる。そのような傾向が増えていくはずだという。

 「コンピューティングそのものが抽象化していくだろう」とマツムラ氏。その延長線上としてSunの「JINI」について触れ、同プロジェクトが“ネットワークを仮想化する”という目的であること、そしてPureJavaで作られていることを強調した。また、ネットワークによって特定の場所は関係なくなり、「すべてのコンピュータをAPIで仮想化実現することができるだろう」と語った。

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 さらにマツムラ氏は、仮想化の事例としてGoogleの取り組みを挙げた。すべてのインターネット上の情報を1つのインタフェースで実現することに同社のすばらしさがあるという。「しかし、Googleには問題点があった」。それはすべてのものを“紙”として見ていたこと。紙の集合体として見ていたことで、Googleの手法では捉え方が限定的になってしまうという。

 SOAに対しても述べた。「ネットワークレイヤーの上にさらにレイヤーが出来上がろうとしている。これは画期的なことだ。しかし、SOAとWebサービスはPureJavaではない」といい、SOAはJava以外のプラットフォームとつなげることに適した選択肢として躍進するだろうと語った。

 これからのJavaが歩む10年は険しい山越えのようなものだろうとマツムラ氏はいう。しかし、来場したデベロッパーの“Participation”によって支えられるはずだ。マツムラ氏は、未来への感謝の意を、丁寧に来場者へ向けた。

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