大規模開発の生産性効率化から効率的なパッチマネジメントまでthe Microsoft Conference 2005 Report

MSCで行われたセッションには、新製品の紹介のほかにも運用管理に関する手法やノウハウを取り上げたものが多い。そんな中から大規模開発におけるVS 2005の利用法と、セキュリティパッチ適用に関する手法の解説を見てみよう。

» 2005年11月18日 20時25分 公開
[井上健語(ジャムハウス),ITmedia]

 11月17日に開催されたthe Microsoft Conference(MSC) 2005では、新製品の紹介とともに、運用管理に関するノウハウといったものを具体的に解説するセッションも数多く行われた。ここではその中から大規模開発におけるVisual Studio 2005の利用法と、セキュリティパッチ適用の際の利便性向上についてお伝えする。

チーム開発の生産性を向上させる統合開発環境 Visual Studio 2005 Team System

 MSCのセッション「Visual Sutdio 2005で実現するチーム開発の効率化」では、Visual Sutdio 2005の最上位に位置づけられるVisual Studio 2005 Team Systemによる大規模システム開発の効率化について、その詳細が語られた。

 現在のシステム開発では「大規模」「短納期」「低予算」「高品質」といった難しい要求を満たさなければならない。そのためには、開発に関わる全メンバーの作業・役割の明確化、適切なツールの提供、プロジェクト管理と情報共有が求められる。これらの要求を高いレベルを満たす統合開発プラットフォームが、Visual Studio 2005 Team Systemである。

 例えばVisual Studio 2005 Team Systemでは、個々のメンバーの作業が「ワークアイテム」という単位で管理される。ワークアイテムは個々のメンバーが実行すべき作業項目のことで、その進捗は常にVisual Studio 2005 Team Systemによって管理され、必要に応じて参照することもレポートを作成することもできる。つまり、Visual Studio 2005 Team Systemは開発環境であり、同時にプロジェクト管理ツールでもある。

 さらに、アプリケーションデザイナやシステムデザイナなどのモデリングツールによるコードの変更と同期。作成したWebアプリケーションのパフォーマンステスト。頻繁なビルドを可能にした「自動ビルド」。ポリシーを設定できるソースコードの「バージョン管理」。SharePoint Servicesを利用したポータルによるチームコミュニケーションの実現。プロジェクトに関わるさまざまな情報を収集・分析してレポートを作成する「レポーティング」などの機能がデモを交えて解説された。

 最後には、「Visual Studio 2005 Team Systemによってソフトウェア開発、システム開発はもっと面白くなる」と強調された。それは、Visual Studio 2005 Team Systemによって、プロジェクトに関わるさまざまな面倒な作業が自動化され、それによってできた時間を各メンバーがより有効に活用できるようになるという意味だ。アプリケーション設計者、開発者、テスト担当者、プロジェクトマネージャなどチーム開発に関わるすべてのメンバーをハッピーにするツールが、Visual Studio 2005 Team Systemなのである。

マイクロソフトが提供する効率的なパッチ管理ソリューション

 また、「セキュアなインフラストラクチャを実現するパッチマネージメント手法」のセッションでは、マイクロソフトのパッチ管理ソリューションが解説された。

 脆弱性が攻撃されるのは、実はパッチ公開からそのパッチが適用されるまでの期間が最も多い事実が示され、パッチ公開後、できるだけ早くパッチを適用することの重要性が指摘された。また、セキュリティ対策には「人または組織」「プロセス」「技術」の3つの要素が必須であることが改めて強調された。

 マイクロソフトのソリューションとしては、次の4つが解説された。

  • Microsoft Update……一般コンシューマおよび管理者のいない環境でのソリューション。
  • Microsoft Baseline Security Analizer 2.0(MBSA2.0)……脆弱性の検証ツール
  • Windows Server Update Services(WSUS)企業内でWindows Updateや自動更新を実現する。
  • System Management Server 2003……すべての更新プログラムに対応する更新プログラムソリューション。

 従来のパッチ管理は参照カタログが分散し、各ソリューションが個別に各製品に対応するなど混乱していたが、これを整理し、一般消費者から大規模企業まで上記の4つのソリューションがすっきり配置された(ただし、MBSA2.0はあくまで検証ツールという位置づけ)。

 Windows Server Update Services(WSUS)の解説では、企業内でのWSUS導入のシナリオとして、分散管理型、集中管理型、WSUSサーバからのエクスポート/インポートによるインターネット非接続型などが解説された。WSUS導入を検討している企業にとっては、実践的で価値ある内容であった。

 なお、MBSA2.0は同社のWebサイトから無償でダウンロードできる。

 ローカルマシンおよびネットワーク上のマシンをスキャンし、適用されていないパッチやセキュリティの構成ミスなどのセキュリティ情報を作成・レポートできるので、ぜひ試してみよう。

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