IBMが分散型のストリーム処理エンジンとして「SMILE」技術を開発している。アナリストらは、「SMILEはSOAを新しいレベルに引き上げる」と話す。(IDG)
分散アプリケーション環境におけるクエリー機能を拡張すべく、IBMのリサーチャーがストリームベースのミドルウェアを開発している。
SMILE(Smart Middleware Light Ends)技術を使えば、ストリームベースで情報セットをキューイングできる。IBM Researchで分散メッセージングを担当するチトラ・ドレイ マネジャーによれば、例えば、この10分間のイベント状態をSMILEによって記憶することで、10分間に最も活発に取引された20の株式を尋ねるクエリーも可能となるという。
「SMILEは、データベースを使わず、メモリ内でメッセージを処理する分散型のストリーム処理エンジンだ」とドレイ氏。SMILEはまた、SQLに準拠した分散アプリケーションのための宣言型プログラミングモデルが特徴だ。
IBMでは、SMILEがSOAやWebサービスの環境で適用性があるとみている。SMILEは、サービスの提供者から要求者に送られるメッセージ同士を互いに結びつけることもできるとドレイ氏は話す。
SMILEはSOAに差別化をもたらすと話すのは、ZapThinkの上級アナリスト、ジェイソン・ブルームバーグ氏。
「SMILEは2つの理由からSOAを新しいレベルに引き上げる。最初は、リクエスト/レスポンスからサービスの対話へと焦点をシフトする。2番目は、SOAとEDA(イベント駆動型アーキテクチャー)が異なるアプローチではなく、むしろSOAとは本来イベント駆動型であることを例証する」(ブルームバーグ氏)
IBMでは今のところ、SMILEを製品に組み込む具体的な予定はないが、WebSphere Message Broker、WebSphere ESB(enterprise service bus)、およびDB2へ応用される可能性がある。
SMILEは、最適配置のアルゴリズムやシステム管理サービスもサポートしているが、これらについてデベロッパーらが意識することはないという。
IBMでは、ストリーム処理エンジンを提供するStreamBase SystemsのソフトウェアとSMILEが類似していると認識しているが、「eventual correctness guarantee」と呼ばれるSMILEのサービスの品質を保証する機能が違うとしている。
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