MSのOffice XML構想に欠陥あり――法律専門家が指摘(2/3 ページ)

» 2005年11月25日 09時08分 公開
[Steven J. Vaughan-Nichols,eWEEK]
eWEEK

 Microsoftの誓約書に対する評価の中で、アプデグローブ氏はSun MicrosystemsがOASIS(Organization for the Advancement of Structured Information Standards)に提出した非係争誓約書と比較し、SunのOpenDocumentフォーマットに軍配を上げている。

 「結論的に言えば、Sunの誓約内容は幾つかの重要な点においてMicrosoftの誓約よりも遙かに優れている」とアプデグローブ氏は語る。

 一方、XMLの共同発明者でMicrosoftのシニアデベロッパーであるジーン・パオリ氏は、「Microsoftでは、全世界のユーザー、技術プロバイダーおよび開発者がMicrosoftの製品を使うか否かにかかわらず、障壁なしにOffice Open XMLフォーマットを利用できるオープンな環境を築きたいと考えている」と主張している。

 アプデグローブ氏の批判のポイントは、Sunが誓約書を基本的にOASISの管理下に置いているのに対し、Microsoftは同社の誓約書およびその将来の適用範囲に関して、すべての権限を有することにある。

 「とはいえ、両社の誓約には共通の欠点がある。それは、特許保有者(SunまたはMicrosoft)と実際のインプリメンターの間に、小規模ISVを守ってくれる資金力のあるホワイトナイトが存在しないことだ。また、特許を買収する可能性のある者が同じ誓約に拘束されることが明記されていない(これは標準一般に共通する問題でもある)」とアプデグローブ氏は語る。

 アプデグローブ氏は、Microsoftが不十分な内容の誓約を出してきた理由についても推測を巡らせている。同氏によると、考えられる理由は3つあるという。

 「まず、同社が何か悪巧みを計画していることが考えられるが、その可能性は低いと思う。そんなことをしたら、やり玉に挙げられるだけだからだ」とアプデグローブ氏は話す。

 「2番目の理由としては、この問題に関して同社はまだ、Sunのように明確に態度を打ち出せないでいるということだ。3番目としては、同社が狙っている目的、すなわちODF(OpenDocument Format)の進出を阻止するという目的を達成するには、これで十分だという計算に基づく決定ということが考えられる」(同氏)

 「私の推測では、2番目と3番目の両方の理由によるものだろう。Microsoft社内の知人に聞いた話では、こういった誓約書の作成を巡って社内で議論が起き、必要最低限以上の内容は受け入れられない状況だったという」と同氏は語る。

 Ziff Davis Internetのインタビューでアプデグローブ氏は、「幾つかの点で驚いたことがある。それは、Microsoftが重要な問題でそれほど譲歩しなくても、Sunとのギャップをもう少し狭めることができたのではないかということだ」とも述べている。

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